セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(IPMN2)

タイトル 消P-231:

新ガイドラインに基づいたIPMN診療の現状と問題点

演者 香川 幸一(NTT東日本関東病院・消化器内科)
共同演者 藤澤 聡郎(NTT東日本関東病院・消化器内科), 久富 勘太郎(NTT東日本関東病院・消化器内科), 窪田 賢輔(横浜市立大・消化器内科), 松橋 信行(NTT東日本関東病院・消化器内科)
抄録 【目的】新ガイドラインでは悪性のリスクに応じ,”high-risk stigmata”と”worrisome features”が規定された.今回,high-risk stigmataを高危険群(H群),worrisome featuresを中危険群(M群),その他を低危険群(L群)に分類しIPMN診療の現状を検討した.【対象と方法】2002年4月から2013年2月の間にEUS施行後に切除もしくは1年以上経過観察を行ったIPMN150例(切除21例うち経過観察中に切除した症例4例,経過観察133例)を対象とした.経過観察例の観察期間中央値は34ヶ月(12-124ヶ月).リスク分類別に切除例の詳細および経過観察例の臨床経過を検討した.【結果】H群/M群/L群の平均嚢胞径は39.0mm/30.2mm/15.1mm,平均主膵管径は12.8mm/5.6mm/3.4mm,結節頻度は75.0%/39.3%/0%であった.切除21例の内訳は,H群/M群/L群=12例/9例/0例で,悪性7例(浸潤癌2/高度異型5),良性(borderline以下)12例,併存膵癌2例であった.併存膵癌を除いたリスク分類別の悪性的中率は,H群/M群=50.0%(6/12)/14.3%(1/7)であった.経過観察例の内訳はH群/M群/L群=4例/28例/101例であった.画像変化(嚢胞径・主膵管径・結節高3割以上の増大および結節・併存膵癌の新出)を12.8%(17/133)に認め,嚢胞径増大9例,主膵管拡張悪化7例,併存膵癌出現1例であった.画像変化をきたした経過観察例のうち4例を切除し,3例が嚢胞径増大で病理結果はいずれもadenoma,もう1例は併存膵癌であった.累積画像変化率をみると,3年:H群/M群/L群=100%/30.5%/0.0%,5年:100 %/57.6%/6.3%であった(いずれもp<0.001).【結論】M群とH群はL群に比して有意に画像変化をきたしやすいため慎重な経過観察が望まれるが,M群の切除例における悪性頻度は高くなく,また経過観察中に嚢胞径増大で切除を行った症例はいずれも良性であることから嚢胞径のみの良悪性診断には注意が必要である.一方,L群では画像変化は少なく併存膵癌の危険性はあるもののfollow間隔延長が可能と思われた.
索引用語 IPMN, 新ガイドライン