セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(IPMN2)

タイトル 消P-233:

分枝型IPMNの患者背景:対照群および通常型膵癌群との比較

演者 武田 洋平(鳥取大・機能病態内科)
共同演者 八島 一夫(鳥取大・機能病態内科), 斧山 巧(鳥取大・機能病態内科), 松本 和也(鳥取大・機能病態内科), 河口 剛一郎(鳥取大・機能病態内科), 原田 賢一(鳥取大・機能病態内科), 村脇 義和(鳥取大・機能病態内科)
抄録 【背景と目的】画像診断の普及により分枝型IPMN(BD-IPMN)の発見が増えている.患者管理ではIPMCへの悪性化,異所性の通常型膵癌(PDAC)の発症,他臓器癌の合併に留意する必要がある.新ガイドラインでは画像所見を中心としたリスクが検討されているが,患者背景については不明な点が多い.BD-IPMNの患者背景を詳細に検討し,PDACとの比較も行った.【対象と方法】対象は2003年7月~2012年12月の間に当院で診断したBD-IPMN 114例(男54:女60,平均年齢71歳)と,PDAC 146例(男95:女51, 平均年齢67歳).BD-IPMNはMRCPまたはERCPで主膵管との交通を認めた径5mm以上の分枝膵管の拡張とした.対照群は同期間に便潜血陽性で大腸内視鏡検査を施行した症例のうち,それぞれ性,年齢を一致させた114例と146例とし,患者背景(性,年齢,既往歴,飲酒・喫煙歴,二親等までの癌家族歴)を男女別に,70歳以上を高齢者とし比較検討した.【結果】BD-IPMNの発見契機は健診または他疾患の画像検査が85例(75%)と多かった.IPMC は6例(5%,男4:女2)あり,全例が多房性で主膵管は拡張し,5例が大きさ30mm未満,喫煙者であった.BD-IPMNと同時診断した異所性PDACは5例(4%,男4:女1)あり,全例が多房性,70歳以上で,4例が大きさ30mm未満であった.他臓器癌の既往は38例(33%)で,内訳は男性で胃癌(12例),大腸癌(7例)が多く,女性では子宮癌(4例),乳癌(3例)が多かった.症例対照間の比較では糖尿病と他臓器癌の既往がBD-IPMNとPDACともに高率で,それぞれBD-IPMNでは高齢者で(35%;P=0.03,41%;P<0.01),PDACでは男性で著明であった.喫煙歴はBD-IPMN(78%;P<0.01)とPDACともに高齢男性に高率だった.膵癌家族歴はBD-IPMN5例,PDAC5例でそれぞれ対照群との差は無かった.【結語】BD-IPMNの患者背景の特徴として糖尿病と他臓器腫瘍の既往,喫煙歴があり,PDACの患者背景と同様であったが,BD-IPMNは高齢者,PDACは男性によりその傾向が強かった.女性は他臓器癌の既往として消化管癌は少なかった.
索引用語 分枝型IPMN, 患者背景