セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(IPMN2)

タイトル 消P-235:

当院における分枝型IPMNの経過観察症例の検討

演者 佐藤 英之(山形県立中央病院・内科)
共同演者 白幡 名香雄(山形県立中央病院・内科), 小野里 祐介(山形県立中央病院・内科), 今 孝志(山形県立中央病院・内科), 仁科 武人(山形県立中央病院・内科), 川越 圭(山形県立中央病院・内科), 藤嶋 昌一郎(山形県立中央病院・内科), 武田 弘明(山形県立中央病院・内科), 鈴木 克典(山形県立中央病院・内科), 深瀬 和利(山形県立中央病院・内科)
抄録 【目的】分枝型IPMNは,検診などで発見されることが多くなり,日常診療で経過観察をする機会が増えてきている.そこで当院の外来で経過観察をしている症例の傾向を分析し,今後,分枝型IPMNをどのように経過観察していくのが望ましいかを検討した.【対象と方法】 2004年4月から2013年2月まで当科に通院している膵IPMN症例 151例を対象とした.調査項目は臨床的背景,嚢胞径の増大率,壁在結節の出現率,通常型膵癌の発生率,他臓器癌の合併率,生存率について検討した.【成績】 全体の平均経過観察期間は25か月(6~102か月)であった.性別は男性が74例(49%),女性が77例(51%)で,平均年齢は69歳(35~89歳)であった.嚢胞長径は平均19mm(4~80mm)であった.発見契機は検診が65例(43%),胆石や悪性腫瘍など他疾患の精査が68例(45%),腹痛など有症状が18例(12%)であった.2012年国際膵臓学会による膵IPMNの診療ガイドラインで“high-risk stigmata”と称される閉塞性黄疸,造影される充実性成分を伴う症例はなく,主膵管径10mm以上の症例は1例であった.“worrisome features”の嚢胞径30mm以上の症例は27例(18%)で,主膵管径 5~9mmの症例は5例(3%),造影されない結節のある症例は2例(1%),急性膵炎で発症した症例は4例(3%)であった.他臓器癌の合併率は全体で33例(22%)であった.死亡例は2例あり,1例が膵癌の合併によるもので1例は悪性リンパ腫によるものであった. 【結論】 当院での分枝型IPMN経過観察症例は検診や他疾患の経過観察で偶然発見されるものが多数を占めた.今後,IPMNの症例数は増加することが予想される.今回の検討ではIPMNが癌化した症例はなかったことから手術適応は慎重に決定する必要があると考える.一方で膵癌の合併や他の悪性腫瘍の合併例が存在するため,その点に留意して経過観察することが肝要である.
索引用語 膵臓, 腫瘍