セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(その他)

タイトル 消P-238:

膵疾患に対するパンクレリパーゼ投与の有用性に関する検討

演者 塩出 悠登(大阪厚生年金病院)
共同演者 加藤 幹那(大阪厚生年金病院), 加藤 穣(大阪厚生年金病院), 日比野 千尋(大阪厚生年金病院), 村井 一裕(大阪厚生年金病院), 甲斐 優吾(大阪厚生年金病院), 城 尚志(大阪厚生年金病院), 松村 有記(大阪厚生年金病院), 武田 梨里(大阪厚生年金病院), 北 久晃(大阪厚生年金病院), 河合 知代(大阪厚生年金病院), 中田 悠紀(大阪厚生年金病院), 千葉 三保(大阪厚生年金病院), 前田 晃作(大阪厚生年金病院), 内藤 雅文(大阪厚生年金病院), 道田 知樹(大阪厚生年金病院), 伊藤 敏文(大阪厚生年金病院)
抄録 【目的】膵切除後の膵外分泌機能低下や慢性膵炎の疼痛に対し,近年高力価非腸溶膵酵素補充剤であるパンクレリパーゼが使用可能となっている.今回我々は,当院にてパンクレリパーゼを処方した症例における,栄養状態と疼痛の改善効果に関して検討した.【対象と方法】≪検討1≫当院にて膵切除術を受けた15例(原疾患:膵癌10例,膵IPMN3例,十二指腸乳頭部癌1例,胃癌1例,術式:PD11例,体尾部切除4例)を対象とし,パンクレリパーゼ投与群(5例),ベリチーム配合顆粒投与群(5例),無投薬群(5例)の3群に分類し,栄養評価のマーカーとしてAlb値,Hb値,リンパ球数の推移を,膵酵素補充療法開始時,1ヵ月後,3ヵ月後,6ヶ月後の時点で比較した.≪検討2≫慢性膵炎15例のうち,疼痛を主訴とする10例を対象とし,パンクレリパーゼ投与前後の疼痛の変化を比較した.投与期間は7.9±4.3ヶ月であった.疼痛の程度は診療録の記載から判定し,痛みがない状態を0,軽度の痛みを1,重度の痛みを2とした.【成績】≪検討1≫Alb(g/dL)の変化は,パンクレリパーゼ群では投与後1ヶ月で0.78±0.71,3ヶ月で0.75±0.88,6ヶ月で0.95±1.34の上昇を示し,ベリチーム配合顆粒投与群では投与後1ヶ月で0.34±0.35,3ヶ月で0.4±0.4,6ヶ月で0.5±0.51の上昇であり,両群とも改善傾向を認めた.無投薬群では術後1ヶ月の値を基準として,術後3ヶ月で0.46±0.42,6ヶ月で0.067±0.85であり,上昇後に低下を認めた.≪検討2≫2→1の改善が1例,1→0の改善が8例に認められた.改善のない症例(1→1)も1例存在した.【結論】パンクレリパーゼによる膵酵素補充療法は,膵臓切除後の栄養状態改善,および慢性膵炎の疼痛改善に有用であり,膵外分泌を積極的に補完することの重要性が示唆された.今後この点をさらに解析検討するために症例数と観察期間の蓄積が必要であると考えられた.
索引用語 パンクレリパーゼ, 膵外分泌機能低下