セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(その他)

タイトル 消P-239:

当院で加療した膵液瘻9例の検討

演者 山田 友春(三井記念病院・消化器内科)
共同演者 戸田 信夫(三井記念病院・消化器内科), 山上 まり(三井記念病院・消化器内科), 山本 康英(三井記念病院・消化器内科), 佐藤 公紀(三井記念病院・消化器内科), 小島 健太郎(三井記念病院・消化器内科), 大木 隆正(三井記念病院・消化器内科), 有住 俊彦(三井記念病院・消化器内科), 関 道治(三井記念病院・消化器内科), 田川 一海(三井記念病院・消化器内科)
抄録 目的 膵液瘻は感染,出血などから重篤な転帰を来し得る病態であり,その管理は重要である.今回当科にて加療した膵液瘻症例に関して検討したので報告する.対象 2009年12月から2013年3月まで当科にて加療した膵液瘻患者9例.平均年齢は60歳で,男性8例,女性1例.これらの症例の膵液瘻の基礎疾患,原因,治療,予後に関して検討した.結果 基礎疾患は急性膵炎が3例,慢性膵炎が4例,術後膵液瘻が2例であった.原因は,急性膵炎による膵管の破綻が3例,膵石による尾側膵管の破綻が3例,術後のleakが2例,慢性膵炎による膵管狭窄部尾側膵管の破綻が1例であった.治療は内視鏡的治療が3例,経皮的治療が1例,内視鏡+経皮的治療が4例,手術+内視鏡的治療が1例であった.内視鏡+経皮的治療したうちの1例は膵液漏のコントロールがつかず膵周囲からの仮性動脈瘤出血を繰り返し死亡した.8例は膵液漏の治療には成功したが,経皮的治療した1例は7か月後に仮性嚢胞として再発,同部が破裂し緊急手術となった.その他の7例は平均観察期間20か月で再発を認めていない.死亡例は膵体部主膵管内の膵石を原因とする膵液漏であった.膵石に対するESWLを考慮したものの,腎不全に対する血液透析症例にてESWLの禁忌でありやむなく膵管ステント留置していたが,ステント閉塞により膵液漏を繰り返し死亡に至った.緊急手術となった1例は重症急性膵炎後で膵体部が壊死し,尾部が残存していたが,ここからの膵液漏により再発を来した症例であった.考察 当院での膵液漏の治療成績を示した.経皮的,内視鏡的,外科的アプローチを組み合わせることで77.8%(7/9)の症例で膵液漏をコントロールし,長期的にも良好な予後が得られた.しかし原因病巣が残存した症例では再発し予後不良であった.膵液漏の治療にはその原因を明らかにし,これに対して適切に対処することが肝要と考えられる.
索引用語 膵液漏, 膵嚢胞