セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(その他)

タイトル 消P-241:

高グルコースおよび高インスリン培養条件がヒト正常膵管上皮細胞由来株へ与える影響についての検討

演者 伊藤 美保(山形大・消化器内科)
共同演者 牧野 直彦(山形大・消化器内科), 戸澤 智浩(山形大・消化器内科), 松田 暁子(山形大・消化器内科), 池田 祐之(山形大・消化器内科), 柿崎 泰明(山形大・消化器内科), 河田 純男(兵庫県立西宮病院), 上野 義之(山形大・消化器内科)
抄録 【緒言】膵癌は本邦および欧米諸国において年々増加している.糖尿病は膵癌に合併する疾患の中で最も頻度が高く,これまでにも糖尿病が膵癌の危険因子であるという報告が散見されている.一方,オステオポンチン (以下OPN)は,糖尿病や肥満において発現の亢進を認め様々な病態に関与することが明らかにされてきているが,膵臓での発現や機能については明らかにされていない.今回私は高グルコースおよび高インスリン培養条件がヒト正常膵管上皮細胞由来株へ与える影響を検討することを実験の目的とした.【材料と方法】ヒト正常膵管上皮細胞に由来する細胞株であるHPDE-6を使用し,通常培地のグルコース培養条件 (6mM),および高グルコース培養条件 (30mM,60mM),さらに高インスリン培養条件 (0.1nM,1nM)を組み合わせて培養した.細胞増殖能の評価,mRNAの定量,蛋白の発現解析,酸化ストレスの評価および細胞障害性の評価を行った.【結果】6mMグルコース培養条件でのHPDE-6の細胞増殖能に比較して,高グルコース培養条件の細胞増殖能は有意に亢進しており,高インスリン培養条件ではさらに顕著であった.また同様にOPN mRNA発現も有意に増加していた.ウェスタンブロット法でもOPN 蛋白発現の増加が確認された.OPN-siRNAを用いた遺伝子抑制実験により,6mMおよび30mMグルコース培養条件でOPN遺伝子抑制細胞の細胞増殖能の抑制を認め,OPNがHPDE-6の細胞増殖に関わっている可能性が示唆された.6mMグルコース培養条件に比較して,高グルコース培養条件のDNA試料中8-OHdG量,SOD2 mRNA発現量および培養上清中LDH活性は有意に増加していた.【結論】高グルコースおよび高インスリン培養条件において,HPDE-6の細胞増殖能は亢進し,同時にOPN発現の増加を認める.さらに,高グルコース培養条件において,HPDE-6の酸化ストレスが亢進し,細胞障害性の増加が認められる.
索引用語 膵癌, オステオポンチン