セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(症例報告)

タイトル 消P-245:

膵carcinoma in situの2例

演者 野村 佳克(松山市民病院・消化器科)
共同演者 水上 祐治(松山市民病院・消化器科), 村上 信三(松山市民病院・消化器科)
抄録 <はじめに>EUSの進歩,膵液細胞診の普及に伴い,徐々にではあるが,小膵癌,Pain3病変が発見されてきている.当院では,昨年4月より小膵癌発見のため積極的にEUS,ERCP(細胞診)を積極的に行っている.1年間で 例に対して膵精査のためERCPを行い,2例のPaIN3病変を発見する事が可能であった.これらの症例を供覧する<症例>1) 80歳女性,左副腎腫瘤の精査のためCTを施行したところ,膵尾部に嚢胞性病変を認め当科紹介.EUSでは膵体部に嚢胞性病変と,尾部に嚢胞の集簇を認めたが,内部結節は確認されなかった.明らかな腫瘤像も認めなかった.ERP像では,膵体部の主膵管に嚢胞による圧排像と膵尾部の主膵管に不整狭細,硬化像,分枝膵管の拡張を認めた.細胞診および,詳細な膵管像の検討のため,ENPD tubeを留置した.膵液細胞診では,悪性を疑う細胞が3回検出された.微小な癌を疑い,膵体尾部・脾臓合併切除術を施行した.病理学的検討では,術前の膵管像で膵尾部の不整狭細,硬化像がみられた主膵管に一致し上皮内にとどまるPaIN3病変が存在した.免疫染色ではMUC1陽性でMUC2陰性,MUC5AC陽性であった.2) 74歳女性,心窩部不快感を主訴に受診し,US・CTにて膵頭体移行部にcystとその尾側主膵管のびまん性拡張を認めた.小膵癌の存在を念頭に精査を行った.EUSではUS,CTと同様な所見で,嚢胞内結節は指摘できず,膵実質内にも明らかな腫瘤も認めなかった.質的診断を目的としてERCPを施行した.主膵管は膵頭体移行部で狭窄し,抹消の主膵管は性拡張していた.ENPD tubeを留置し,膵液細胞診を3回施行し,いずれも悪性を疑う細胞を認めた.体部の微小な癌を疑いopeを施行した.病理学的な検討では,主膵管内に広範囲にPaIN2~3病変が拡がっていたが,狭窄部主膵管には存在しなかった.膵実質浸潤は認めなかった.PaIN3病変に相当する部分は,免疫染色ではMUC1陽性でMUC2陰性,5AC陽性であった.<結語>膵癌に伴うと思われる2次的な変化を捉え,積極的に細胞検査を行えば,早期の状態の膵癌を捉える事が可能である事が示唆された.
索引用語 膵上皮内癌, 膵液細胞診