セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(症例報告)

タイトル 消P-246:

CDDP+VP16療法不応後,エベロリムスが奏功した非機能性膵神経内分泌腫瘍の1例

演者 鈴木 一也(市立釧路総合病院・消化器内科)
共同演者 矢島 秀教(市立釧路総合病院・消化器内科), 管野 伸一(市立釧路総合病院・消化器内科), 若杉 英樹(市立釧路総合病院・消化器内科), 藤井 健一(市立釧路総合病院・消化器内科), 米澤 和彦(市立釧路総合病院・消化器内科), 阿部 敬(市立釧路総合病院・消化器内科), 篠村 恭久(札幌医大・1内科)
抄録 進行pNET(G1/G2)に対してエベロリムス,スニチ二ブといった分子標的治療薬が保険収載され第一選択薬となりつつある.またpNEC(G3) は進行が速く,CDDPを中心とした併用化学療法が選択されることが多い.今回,我々はCDDP+VP-16療法不応後,エベロリムスが著効.間質性肺炎にて一時休薬するも,再投与可能となった一例を経験したので報告する.【症例】70代女性.膵尾部腫瘍と多発肝腫瘍の精査目的に当院紹介.AFP189.5ng/ml,NSE61pg/mlと上昇を認めるも,各種ホルモン値の異常は認めず.造影CTにて,膵尾部に3cm大の多血性の腫瘍,多発肝腫瘍を認めた.膵病変に対し,EUS-FNAを施行.クロモグラニンA,シナプトフィジン陽性.細胞診ではclassIIIも,すでに肝転移をきたしていることよりstageIVのpNETと診断した.オクトレオチドを併用してCDDP+VP16療法を2コース施行.CTにて明らかな腫瘍の増大を認めPDと判定,CDDP+VP16療法を中止.オクトレオチドを併用しながら,エベロリムス10mgを開始した.投与開始1か月後のCTにて著明な腫瘍の縮小を認めた.投与開始3か月半後,grade2の血小板減少を認めエベロリムスを中止.合わせて,オクトレオチドも中止とした.また,胸部CTにて間質性肺炎(grade1)と診断.呼吸器内科にコンサルトし,プレドニゾロン50mgを開始.速やかに改善傾向となり1週間後プレドニンを25mgに減量,徐々に減量した.エベロリムス中止約1か月後のCTにて腫瘍は増大,エベロリムス5mgを再開した.オクトレオチドも合わせて再開.間質性肺炎の再燃なくエベロリムスの投与を継続している.【考察】本症例は,EUS-FNAにてclassIIIまでの判定で組織診に至っておらず,pNETかpNECかは不明であったがpNECを疑いCDDP+VP16療法を施行した.同療法不応後,保険収載されたばかりのエベロリムスの投与を開始し著効した.急速に進行するpNETsに対しエベロリムスの有効性が示唆された.
索引用語 非機能性膵神経内分泌腫瘍, エベロリムス