セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(症例報告)

タイトル 消P-247:

主膵管拡張を契機に発見された早期膵癌の4例

演者 横田 智行(松山赤十字病院・肝胆膵センター)
共同演者 佐々木 由子(松山赤十字病院・肝胆膵センター), 忽那 茂(松山赤十字病院・肝胆膵センター), 田中 孝明(松山赤十字病院・肝胆膵センター), 川村 智恵(松山赤十字病院・肝胆膵センター), 武智 俊治(松山赤十字病院・肝胆膵センター), 山上 隆司(松山赤十字病院・肝胆膵センター), 上甲 康二(松山赤十字病院・肝胆膵センター)
抄録 【はじめに】膵癌はほとんどの症例が進行癌として見つかる予後不良の疾患である.早期発見は困難であり,現時点ではその方法も確立されていない.今回我々は主膵管拡張を契機に発見された早期膵癌の4例を経験したので報告する.【症例1】77歳女性,体重減少と食思不振精査目的でCTを施行.主膵管拡張を指摘され精査.EUSでは小嚢胞のみで充実性腫瘤を認めず.ERCPにて膵体部主膵管の狭窄と尾側膵管の拡張を認めた.内視鏡的経鼻膵管ドレナージ(ENPD)による膵液細胞診では明らかな悪性の所見を得られなかったが,患者の希望もあり膵体尾部切除術を施行.微小浸潤を伴う管状腺癌であった.【症例2】80歳男性,肺炎精査目的のCTで偶然主膵管拡張を指摘.EUSでは腫瘤を認めず.ERCPにて膵尾部の主膵管拡張を認め,膵液細胞診にて腺癌を疑い膵体尾部切除を施行.主膵管型の膵管内乳頭粘液性腺癌(IPMC)と診断した.【症例3】84歳男性,C型肝硬変フォロー中に偶然CTで主膵管拡張を指摘.EUSでは小嚢胞のみで充実性腫瘤を認めず.ERCPにて膵体部主膵管に狭窄と尾側膵管の拡張を認める.膵液細胞診にて腺癌を疑い膵体尾部切除術を施行.PanIN3の上皮内癌と診断した.【症例4】64歳女性,子宮肉腫の術後フォローCTで偶然膵管の拡張を指摘.EUSでは小嚢胞と早期慢性膵炎を疑う所見を認めるものの,充実性腫瘤を認めず.ERCPにて膵体部主膵管に約5mmにわたる狭窄とそれより尾側の主膵管拡張を認めた.膵液細胞診にて腺癌を疑う所見あり,膵体尾部切除術を施行.微小浸潤を伴う膵癌であった.4症例ともに術後化学療法は追加していないが,いずれも経過は良好であり無再発生存中である.【まとめ】4例中3例では他病変精査目的のCTが発見の契機であった.いずれも画像上腫瘤を確認できない症例であり,ENPD留置による膵液細胞診が診断に有用であった.
索引用語 膵癌, 主膵管拡張