セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

膵臓(症例報告)

タイトル 消P-248:

EUS-FNA後に十二指腸壁内再発をきたした膵頭部Solid Pseudopapillay Tumorの一例

演者 灰本 耕基(小牧市民病院・消化器科)
共同演者 宮田 章弘(小牧市民病院・消化器科), 平井 孝典(小牧市民病院・消化器科), 舘 佳彦(小牧市民病院・消化器科), 小原 圭(小牧市民病院・消化器科), 小島 優子(小牧市民病院・消化器科), 佐藤 亜矢子(小牧市民病院・消化器科), 飯田 忠(小牧市民病院・消化器科), 和田 啓孝(小牧市民病院・消化器科)
抄録 【背景】Solid Pseudopapillary Tumorは,若年女性に好発する稀な腫瘍で,ほとんどが良性の経過をたどるが,リンパ節転移や肝転移,腹膜播種を呈し,悪性と考えられる症例もある.一方で,EUS-FNAにおける安全性,特にneedle tract seedingについての考え方は,明確な基準がないのが現状である.【目的】今回我々は,SPTの再発に対するEUS-FNA後局所切除を行った症例で,十二指腸壁内への再々発を経験した.EUS-FNAのneedle tract seedingの可能性が示唆されたため,ここに報告する.【症例】症例は30代女性.13歳時に膵頭部腫瘍に対して他院で膵頭部部分切除を施行した.当初は神経芽腫の診断で術後早期より放射線化学治療が開始された.しかし,免疫染色でSPTと診断され治療中止.以降は10年間にわたって経過観察され無再発・終診となっていた.その後,29歳時に腹痛あり当院初診.膵頭部に嚢胞性病変あり,急性膵炎・膵仮性嚢胞形成の疑いで入院となった.保存的治療で症状は改善し,経過で膵嚢胞性病変も縮小したため,膵仮性嚢胞として外来follow upを行っていた.しかし,31歳時に膵嚢胞の形態変化と急速増大を認めたためEUS-FNAを施行した.病理でSPTの再発と判明したため,当院外科で核出術を施行した.SPT再発は悪性の所見であり,本来は術式はPDを選択すべきと考えられたが,患者ご本人の膵温存の希望強く,術中所見から切除可能との判断で核出術が選択された.その後も当院外来でfollow upを継続していたが,36歳時にGIFで十二指腸下行脚に潰瘍を伴うSMT様の病変あり.生検ではSPT再々発の診断であった.明らかな転移はなく,SPT再々発に対して,当院外科で胃十二指腸部分切除および胃空吻合術を施行した.【結語】再々発時には膵自体には腫瘍はなく,EUS-FNAの穿刺経路と推測される十二指腸壁内に限局していた.EUS-FNA穿刺経路からの播種(needle tract seeding)が否定できなかった.
索引用語 Solid Pseudopapillary Tumor, EUS-FNA