セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭(良性1)

タイトル 消P-250:

GERDの維持療法におけるOmeprazole20mg継続療法と頓服療法の無作為前向き試験

演者 永原 章仁(順天堂大・消化器内科)
共同演者 北條 麻理子(順天堂大・消化器内科), 浅岡 大介(順天堂大・消化器内科), 佐々木 仁(順天堂大・消化器内科), 渡辺 純夫(順天堂大・消化器内科)
抄録 【背景と目的】GERDの維持療法は長期にわたるため,臨床現場では継続内服治療ではなく,頓服療法が行われることがある.しかしGERDの維持療法に関する研究の多くは海外からの報告であり,これまで我が国で継続療法と頓服療法とを比較した研究はほとんどない.そこで本研究は維持療法における両治療法の臨床的効果の差異を明らかにすることを目的とした.【方法】内視鏡で診断されたGERD例で8週間の初期治療終了例を無作為に,Omeprazole 20mgを継続内服する群(継続群)と,症状があるときにOmeprazole 20mgを頓服する群(頓服群)とに振り分けた.患者の症状,QOLはGlobal Overall Symptom (GOS), Quality of Life in Reflux and Dyspepsia (QOLRAD)を用いて,維持療法開始時, 8週, 16 週,24 週で評価した.患者日誌を用いて,症状ならびに服薬の有無を毎日記録した.症状改善はGOS スコアが1 (全然困らなかった) , 2 (あまり困らなかった)とし,一次エンドポイントは,各時点で症状改善に至った患者割合とした.本学倫理委員会承認済み.【結果】117例(継続群59例,頓服群58例)が登録された.登録時のGOSスコア,QOLRADスコアに有意差を認めなかった.症状が改善した患者割合は継続群/頓服群それぞれ開始時:57.6%/48.3% (n.s.),8週:66.7%/54.7% (n.s.),16週 63.3%/54.7% (n.s.),24週 66.7%/75.5% (n.s.)であった.QOLRADスコアは各時点で有意差を認めなかった.症状日誌では, 頓服群の平均服薬錠数は1-8週で2.3錠,9-16週で1.8錠,17-24週 で1.0錠であり,症状出現頻度が1週間に1回以下の患者割合は継続群/頓服群それぞれ1-8週で 72.7% /38.9% (p<0.01), 9-16週で75.0%/57.4% (n.s.) ,17-24週で 69.8%/56.0% (n.s.)であった.【結論】GERD例でのOmeprazole頓服療法は,継続療法と比較して,維持療法初期で症状改善効果が弱いものの,6ヶ月間の維持療法では継続療法に匹敵する症状改善効果を示した.
索引用語 GERD, 維持療法