セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭(良性1)

タイトル 消P-254:

TAK-438の逆流性食道炎患者を対象とした用量設定試験

演者 蘆田 潔(済生会中津病院・消化器内科)
共同演者 岩切 勝彦(日本医大・消化器内科), 梅垣 英次(大阪医大・2内科), 平松 直樹(大阪大・消化器内科), 千葉 勉(京都大大学院・消化器内科学)
抄録 【背景】TAK-438はカリウムイオン競合型アシッドブロッカーであり,非臨床試験及び臨床薬理試験ではPPIよりも早期の強力かつ持続的な酸分泌抑制作用が示されている.
【目的】逆流性食道炎患者におけるTAK-438の臨床推奨用量の設定を目的としてTAK-438の有効性及び安全性を検討した.
【方法】国内68施設において逆流性食道炎と診断された733例を対象とし,開始時のロサンゼルス分類(LA分類)のグレード(A/B又はC/D)によりTAK-438(5mg,10mg,20mg,40mg)及びランソプラゾール(LPZ)30mgの5群に層別無作為割付けを行った.3~7日間の観察期の後,各薬剤を8週間1日1回経口投与した.内視鏡検査は2週,4週,8週(4週で未治癒の場合のみ)に実施した.主要評価項目は投与4週後の内視鏡治癒率とした.
【成績】開始時のLA分類のグレードの分布は群間で偏りはなく,グレードC/Dの被験者は全体の34%であった.4週の内視鏡治癒率はTAK-438 5mg,10mg,20mg,40mgとLPZ 30mgでそれぞれ92.3%,92.5%,94.4%,97.0%,93.2%であり,TAK-438のすべての用量でLPZ 30mgに対する非劣性が検証された.さらに,グレードC/Dの層において,TAK-438 20mg及び40mgの4週の内視鏡治癒率はそれぞれ100%,96%とLPZ 30mgの87%に比べて高かった.有害事象(AE)の発現率はいずれの群でも同様であり,最も発現率が高いAEは鼻咽頭炎でいずれの群でも10%程度であった.他のAEの発現率はいずれも4%未満であった.
【結論】逆流性食道炎の投与4週後の内視鏡治癒率はTAK-438の全ての用量でLPZ 30mgに対する非劣性が検証され,TAK-438のより早いより強い酸分泌抑制作用が有効であることが示された.安全性の面では,TAK-438のいずれの用量のAEもLPZと同様であった.本試験成績より,逆流性食道炎におけるTAK-438の臨床推奨用量は20mg 1日1回であると考えられた.
索引用語 逆流性食道炎, TAK-438