セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭(良性2)

タイトル 消P-256:

当院における消化管生理機能検査の現状と課題

演者 広田 将司(大阪大・消化器外科)
共同演者 中島 清一(大阪大・消化器外科), 高橋 剛(大阪大・消化器外科), 宮崎 安弘(大阪大・消化器外科), 山崎 誠(大阪大・消化器外科), 宮田 博志(大阪大・消化器外科), 黒川 幸典(大阪大・消化器外科), 瀧口 修司(大阪大・消化器外科), 森 正樹(大阪大・消化器外科), 土岐 祐一郎(大阪大・消化器外科)
抄録 【背景】消化管機能性疾患は,pHモニタリング,インピーダンス,高解像度マノメトリー等の専門的な検査モダリティを必要とし,疾患の中には診断に難渋するものもある.一方,これらの検査を包括的に行って当分野を専門に扱う施設は我が国にはまだ少なく,その妥当性も不明である.【目的】当院における消化管機能検査の現状と課題を明らかにする.【方法】(1)2000年~2012年,当科で行った消化管機能検査件数の年次推移,検査種,疾患うちわけおよび他科との連携状況を示す.(2)消化管機能検査に要する診療コストを示し,医療経済的な忍容性を確認する.【結果】(1)消化管機能検査件数は2000年(4例)から増加を続け2012年は40例であった.検査種は食道内圧検査,24時間pHモニタリング(2011年からインピーダンスpHモニタも導入),消化管造影検査,上部消化管内視鏡検査で,2007年以降これらを基本検査としてルーチン化した.また,2012年4月以降は咽頭・喉頭疾患の確実な除外を目的に耳鼻科スクリーニングを開始した.全患者(223例)の疾患うちわけは,アカラシア73例,食道裂孔ヘルニア・胃食道逆流症60例,その他25例で,手術適応と判断された92例が速やかに外科治療へ移行した.「その他」にはIneffective esophageal motility,Chronic intestinal pseudo-obstructionが含まれて胃幽門圧測定,肛門内圧測定等の検査を加えたほか,摂食障害や横隔膜痙攣等も含まれ,内科や精神科との連携診療が必要であった.(2)検査を入院で行った場合は1症例につき12203点(DPC対象項目11563点,DPC対象外項目640点)の請求に対し,検査コストは1835点であった(2010年度試算).【結語】複数の検査モダリティの導入と他科との密な連携により,消化管機能性疾患に対する正確な診断と迅速な治療が可能となった.患者負担軽減の観点からは外来検査が望ましく,その場合でもコスト面で忍容されるような制度・環境が必要である.
索引用語 消化管生理機能検査, 消化管機能性疾患