共同演者 |
山下 博司(済生会中津病院・消化器内科), 岩坪 太郎(済生会中津病院・消化器内科), 黒澤 学(済生会中津病院・消化器内科), 安富 栄一郎(済生会中津病院・消化器内科), 川口 真平(済生会中津病院・消化器内科), 古賀 英彬(済生会中津病院・消化器内科), 生方 聡史(済生会中津病院・消化器内科), 江口 考明(済生会中津病院・消化器内科), 田中 敏雄(済生会中津病院・消化器内科), 福知 工(済生会中津病院・消化器内科), 伊藤 大(済生会中津病院・消化器内科), 蘆田 潔(済生会中津病院・消化器内科) |
抄録 |
【背景と目的】非びらん性逆流症(NERD)は,びらん性食道炎と比較してPPIに対して不応例が多く病態の解明が望まれている.我々はPPI倍量投与でも症状が持続する患者に対し,24時間多チャンネルインピーダンス・pHモニタリング(MII-pH)と高解像度食道内圧検査(HRM)を行い病態の検討を行った.【対象と方法】PPI倍量投与で症状が改善しない54例(男性28例,平均年齢59.2歳)を対象とした.PPI投与下でMII-pH,HRMを行った.逆流と症状との関連はsymptom index(SI)を用い,SI50%以上を陽性,SI50%未満を陰性としSI陽性と陰性の病態について比較をした.【結果】54例中SI陽性が29例(男性16例,平均年齢58.3歳),SI陰性が25例(男性12例,平均年齢60.3歳)で,両群間で年齢,性別,裂孔ヘルニアの有無,症状回数,%pH<4HTに有意差は認めなかった.平均逆流回数はSI陽性で有意に多かった.酸性度別逆流回数では両群で大半が非酸逆流であった.酸逆流は両群で差を認めなかったが,非酸逆流はSI陽性で有意に多かった(各々p<0.001).逆流物の上昇度の比較ではSI陽性群において有意に上部食道逆流率が高値であった(47.1%vs.35.4%,p<0.001).酸性度別,性状別で上昇度を比較すると,非酸,液体,混合においてSI陽性で有意に上部食道逆流率が高かった(p<0.001,p<0.001,p<0.001).一方,酸逆流では上昇度に差を認めなかった.SI陽性で運動機能障害を有する割合が有意に多かった(p=0.035).一次蠕動圧と正常一次蠕動波出現率はSI陽性で有意に低かったが(p=0.045,p<0.05),LES機能は両群間で差を認めなかった.【結語】SI陽性群はSI陰性群と比較し有意に逆流回数,上部食道逆流率が高く.また運動障害も多く認めた.SIはPPI抵抗性NERDの病態の違いを反映している可能性が指示された. |