セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭(良性3)

タイトル 消P-264:

非ステロイド性抗炎症薬の食道内プロスタグランジンと上腹部症状発現への効果に関する検討

演者 近藤 隆(兵庫医大・内科(上部消化管科))
共同演者 大島 忠之(兵庫医大・内科(上部消化管科)), 山崎 尊久(兵庫医大・内科(上部消化管科)), 李 兆亮(兵庫医大・内科(上部消化管科)), 奥川 卓也(兵庫医大・内科(上部消化管科)), 豊島 史彦(兵庫医大・内科(上部消化管科)), 櫻井 淳(兵庫医大・内科(上部消化管科)), 池原 久朝(兵庫医大・内科(上部消化管科)), 富田 寿彦(兵庫医大・内科(上部消化管科)), 福井 広一(兵庫医大・内科(上部消化管科)), 岡田 啓希(小野薬品工業(株)・研究本部水無瀬研究所), 中村 志郎(兵庫医大・内科(下部消化管科)), 渡 二郎(兵庫医大・内科(上部消化管科)), 三輪 洋人(兵庫医大・内科(上部消化管科))
抄録 【背景】これまで,我々は食道におけるプロスタグランジンE2(PGE2)が胸やけ症状発現のメカニズムに関与している可能性につき報告してきた.そこで今回我々は,非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の前投与によりプロスタグランジン産生を抑制することで,胸やけ症状の発現に変化があるのかどうかを検討した.【方法】上部消化器症状を有さない健常成人男性(n=12)を対象として,二重盲検,プラセボコントロール,無作為化クロスオーバー比較試験を行った.ジクロフェナク75mgもしくはプラセボを内服した後に酸還流試験を行った.食道内酸還流試験は食道胃接合部(EGJ)より口側10cmに留置したカテーテルより希塩酸(0.15 mol/l)を30分間,8 mL/minの速度で滴下した.知覚スコアとして,acid perfusion sensory score(APSS)スコアを用いて評価した.酸還流前後で経鼻内視鏡を用いて下部食道粘膜を採取し,粘膜内のPGE2濃度(pg/mg protein)をELISA法で測定した.【結果】ジクロフェナク投与群ではプラセボ群と比べ,胸やけ症状のFirst sensation time(min)は有意に延長しており(13.7 ± 2.3 vs. 5.6 ± 1.5, P<0.01),APSSも有意に低下していた(79.1 ± 14.9 vs. 137.1 ± 20.4, P<0.01).さらに食道粘膜内のPGE2濃度はプラセボ群では酸還流後に還流前と比較して有意に増加していたが(7.7 ± 1.2 vs. 23.3 ± 5.2, P<0.05),ジクロフェナク群では有意な増加を認めなかった(6.4 ± 1.1 vs. 11.4 ± 3.5, P>0.05).また,PGE2増加量とAPSSスコアとの間に有意な相関を認めた(r = 0.53, P<0.05).【結語】食道内PGE2は胸やけ症状発現に関与している可能性があり,新たな創薬ターゲットとなりうると考える.
索引用語 PGE2, NSAIDs