セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭(良性3)

タイトル 消P-265:

バルーン拡張術の成績からみた食道アカラシア新取扱い規約X線像変更の意義

演者 川見 典之(日本医大・消化器内科)
共同演者 岩切 勝彦(日本医大千葉北総病院・消化器内科), 竹之内 菜菜(日本医大・消化器内科), 佐野 弘仁(日本医大・消化器内科), 田中 由理子(日本医大・消化器内科), 梅澤 まり子(日本医大・消化器内科), 星野 慎太朗(日本医大千葉北総病院・消化器内科), 坂本 長逸(日本医大・消化器内科)
抄録 【背景・目的】2012年に約30年振りに改訂された第4版食道アカラシア新取扱い規約において,食道X線造影像の分類が変更された.第4版では紡錘型(Spindle type)とフラスコ型(Flask type)の相違が明確でないためにこの二つを合わせて直線型(Straight type:St型)とし,シグモイド型(Sigmoid type:Sg型)との2型に分類された.またシグモイド型の中で蛇行の強いものを特に進行シグモイド型(Advanced Sigmoid type:aSg型)として亜分類された.今回,当科でバルーン拡張術を施行した症例を従来の食道X線像別に比較し,新取扱い規約のX線像の変更が意義のあるものか検討した.ただしSigmoid typeは屈曲が強い場合当初より手術になることが多いため,バルーン拡張術の正確な評価が難しく今回の検討からは除外した.【方法】対象は2002年から2012年までに当科で診断した治療歴を認めない新規アカラシア患者66例である(従来のSpindle type51例,Flask type15例,平均年齢50.9±15歳,男性31例).全例にバルーン拡張術(30mm Rigiflex ballon dilator,3分3回拡張,拡張圧は患者の疼痛により異なるが通常初回2-3psi,2回目3-4psi,3回目4-5psi)を施行し,6ヶ月以上寛解状態(嘔吐,口腔内逆流がほぼ消失)が持続した場合にバルーン拡張術有効と定義した.また当科では以前バルーン拡張術の有効性に関連する因子として40歳未満の若年者では有効率が低いことを報告しており,年齢の因子も加えて検討した.【成績】Spindle typeの拡張術の成績は72.5%(37/51),Flask typeが60%(9/15)であった.特にバルーン拡張術が有効な40歳以上ではSpindle typeが87.5%(35/40),Flask typeが80%(8/10)でありSpindle typeとFlask typeの成績に有意差はみられなかった.【結論】新取扱い規約においてSpindle typeとFlask typeを直線型(straight type)に統一したことはバルーン拡張術の成績からみても合理的であると思われた.
索引用語 アカラシア, 新取扱い規約