セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
食道・咽頭(良性3)
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タイトル |
消P-266:当科で経験したJackhammer esophagusの臨床経過
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演者 |
星野 慎太朗(日本医大千葉北総病院・消化器内科) |
共同演者 |
岩切 勝彦(日本医大千葉北総病院・消化器内科), 川見 典之(日本医大・消化器内科), 佐野 弘仁(日本医大・消化器内科), 田中 由理子(日本医大・消化器内科), 梅澤 まり子(日本医大・消化器内科), 竹之内 菜菜(日本医大・消化器内科), 坂本 長逸(日本医大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】2012年に改訂されたhigh resolution manometryによる食道運動異常症の新分類(Chicago分類)において新たに提唱された疾患の一つがJackhammer esophagusである.Chicago分類では食道蠕動波の強さを,20mmHgの等圧線で囲まれた平滑筋領域の容積(distal contractile integral:DCI)として算出する.10回の水嚥下中1度でもDCIが8000mmHg・s・cmを超えた場合にはHypercontractile esophagus(Jackhammer esophagus:以下JH)と診断される.これまで当科でJHを5例を経験したため,その臨床経過を報告する.【方法】対象はHRMによりJHと診断された5例(平均年齢56.2歳,男性4人)である.【結果】各症例とも水嚥下の10回中3-5回においてDCIが8000mmHg・s・cm以上であった(各症例の最大値は9000-17000).Integrated relaxation integral(IRP)は全例15mmHg未満であった.Distal latencyは正常であったが,contractile front velocity(CFV)は9cm/sec以上である症例もあった.症状はつかえ感,胸痛,胸やけであり,症状の持続時間は様々であった.上部消化管内視鏡検査では1例はLA分類,grade Aの逆流性食道炎を認め,中部から食道壁の伸展不良部位が観察された.その他1例においてらせん状収縮がみられた.胸部CTでは1例において中部食道から全周性の壁肥厚がみられた.食道壁肥厚がみられた症例は著しいQOLの低下を認め,高収縮波を有する範囲(LES上端から15-16cm上方まで)に胸腔鏡下食道筋層切開術(long myotomy)を施行し症状の改善を認めた.他の4症例の症状は軽減または消失し一過性のものであった.【結語】JHは外科的な筋層切開術(long myotomy)を必要する患者がいる一方で,一過性に症状が改善する症例もあり,JHの診断が得られても早急な外科的治療は行うべきではないと考えられた.手術を行った症例はCT検査において広範囲の全周の食道壁肥厚がみられ,外科的治療を判断する指標になる可能性がある. |
索引用語 |
Jackhammer esophagus, chicago分類 |