セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭(良性3)

タイトル 消P-268:

EGJ outflow obstructionの臨床像と経過

演者 竹之内 菜菜(日本医大・消化器内科)
共同演者 岩切 勝彦(日本医大千葉北総病院・消化器内科), 川見 典之(日本医大・消化器内科), 佐野 弘仁(日本医大・消化器内科), 田中 由理子(日本医大・消化器内科), 梅澤 まり子(日本医大・消化器内科), 星野 慎太朗(日本医大千葉北総病院・消化器内科), 坂本 長逸(日本医大・消化器内科)
抄録 【目的】2012年High resolution manometry(HRM)による食道運動障害の分類Chicago分類が改訂された.新しいChicago分類ではEGJ弛緩不全を有する疾患としてアカラシアとEGJ outflow obstruction(以下EO)がある.アカラシアはEGJ弛緩不全に加え一次蠕動波が欠如するものであり,EOはEGJ弛緩不全を有するが一次蠕動波を有する疾患である.EGJ弛緩不全を有する症例におけるEOの頻度およびEOの臨床的特徴を明らかにする.【方法】今回,2002年から開始したHRMによりEGJ弛緩不全を認めた75症例を食道体部運動パターンによりアカラシアとEOに分類した.EOに関しては臨床的特徴を検討した.【成績】76例中72例がアカラシアであり,4例(5.3%)がEOであった.EO症例の性別は男性2例,女性2例,平均年齢は61.5歳(40-74歳)であった.つかえは全例に認め,口腔内逆流も2例にみられた.内視鏡検査ではEO症例においても,アカラシア患者に特徴的なEGJの全周性fold像(”esophageal rosette”)を2例において認めた.EOの1例は好酸球性食道炎であった.治療に関しては,好酸球性食道炎の1例はPSL内服により改善,1例は拡張術を施行し改善した.残りの2症例は経過観察にて1-2か月後に症状消失または改善を認めた.【結論】EGJ弛緩不全を有する患者の5.3%がEOであった.好酸球性食道炎がEOの原因である症例もみられた.拡張術で症状の改善がみられた症例もあったが,自然に症状の改善・消失する症例もみられ,EOの原因は多岐にわたった.今後,アカラシアへの移行を含め長期の経過観察および新たなEO症例の蓄積が重要であると考えられた.
索引用語 EGJ outflow obstruction, chicago分類