セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭(良性4)

タイトル 消P-271:

逆流によるバレット食道と食道癌発生過程での微小環境の解明

演者 宮下 知治(金沢大附属病院・肝胆膵・移植外科)
共同演者 松井 大輔(金沢大附属病院・肝胆膵・移植外科), 宗本 将義(金沢大附属病院・肝胆膵・移植外科), 柄田 智也(金沢大附属病院・肝胆膵・移植外科), 中沼 伸二(金沢大附属病院・肝胆膵・移植外科), 岡本 浩一(金沢大附属病院・肝胆膵・移植外科), 酒井 清祥(金沢大附属病院・肝胆膵・移植外科), 牧野 勇(金沢大附属病院・肝胆膵・移植外科), 中村 慶史(金沢大附属病院・肝胆膵・移植外科), 林 泰寛(金沢大附属病院・肝胆膵・移植外科), 尾山 勝信(金沢大附属病院・肝胆膵・移植外科), 井口 雅文(金沢大附属病院・肝胆膵・移植外科), 中川原 寿俊(金沢大附属病院・肝胆膵・移植外科), 田島 秀浩(金沢大附属病院・肝胆膵・移植外科), 高村 博之(金沢大附属病院・肝胆膵・移植外科), 二宮 致(金沢大附属病院・肝胆膵・移植外科), 北川 裕久(金沢大附属病院・肝胆膵・移植外科), 伏田 幸夫(金沢大附属病院・肝胆膵・移植外科), 藤村 隆(金沢大附属病院・肝胆膵・移植外科), 太田 哲生(金沢大附属病院・肝胆膵・移植外科)
抄録 【目的】我々はラットを用いた逆流による食道発癌モデルにて発癌の機序が組織学的にInflammation-Metaplasia-Adenocarcinoma sequenceによることを報告してきたが,この発癌過程での炎症反応のプロセスは未だ不明である.近年,炎症反応により骨髄から誘導されるM2型のmacrophage がTAM(tumor-associated macrophage)であることが認識され,TAMが癌のプロモーションやプログレッションに関与し,ドミノ式に炎症性微小環境が形成され発癌促進に作用することが考えられている.今回食道発癌過程においてTAMを中心とする食道組織内の微小環境形成に関与する炎症・免疫反応を検討した.【動物および方法】体重180g前後のWistar系雄性ラットを用いて十二指腸食道逆流モデルを作製し,術後50週目まで10週ごとに経時的に屠殺し食道を検索した.各病変部に浸潤した炎症細胞をCD68(pan-macrophage)およびCD163(M2型macrophage),その分化に関与するpSTAT3,CD8(細胞傷害性T細胞), Foxp3(制御性T細胞)を免疫染色にて検討した.【結果】CD68陽性細胞は炎症初期の術後20週目から認められ,扁平上皮過形成,Barrett上皮,癌組織およびその周囲に発現が高率に認められた.CD163陽性細胞は術後30週目以降でBarrett上皮および癌部周囲に発現が認められた.pSTAT3陽性細胞の周囲にはCD68陽性細胞が認められた.CD8陽性細胞はCD68と同様に術後20週目から認められ40週目以降の癌周囲で高率に発現していた.一方Foxp3陽性細胞は癌部周囲の一部に発現しているのみであった.【結語】炎症の初期段階よりmacrophageが浸潤し癌の形成過程で腫瘍組織の微小環境がM2型へ誘導されることが示唆された.また同様にT細胞に関しても発癌過程とともに細胞傷害性T細胞や制御性T細胞が誘導される可能性が示唆された.
索引用語 微小環境, バレット食道