セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
食道・咽頭(良性4)
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タイトル |
消P-272:咽喉頭異常感患者の病態解明とその治療(第一報)
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演者 |
宇野 光祐(慶應義塾大・耳鼻咽喉科) |
共同演者 |
齋藤 康一郎(慶應義塾大・耳鼻咽喉科), 矢部 はる奈(慶應義塾大・耳鼻咽喉科), 磯貝 豊(国際医療福祉大クリニック・言語聴覚センター), 木村 裕之(木村メディカルクリニック), 小川 郁(慶應義塾大・耳鼻咽喉科) |
抄録 |
【目的】咽喉頭異常感の原因は局所,全身,心理的要因と多岐にわたるため,患者を診断する際に難渋することが多い.従来は上気道の慢性炎症が原因の大半を占めるとされてきたが,最近ではその半数以上に胃食道逆流が関与する報告やアレルギー素因との関連も指摘されている.本検討では咽喉頭異常感患者に対し,胃食道逆流とアレルギー素因,さらに心理的因子の関連について検討し,その臨床学的特徴について考察する.【方法】平成24年6月から平成25年3月までに,咽喉頭異常感を主訴に当院受診した患者で視診,触診,鼻咽喉ビデオスコピーで原因疾患が不明であった14名(男性11名,女性3名,平均年齢57.1歳)を対象とした.器質的疾患及び胃食道逆流の除外目的で下咽頭食道内視鏡検査,また呼吸機能・喀痰検査,Fスケール,Reflux Symptom Index(RSI),咽喉頭異常感スコア,VAS(頻度・強さ)の問診票,心理検査も行った.下咽頭食道内視鏡検査で食道炎症所見の確認またはFスケール8点以上の症例に関して,PPI(エソメプラゾール20mg)を2ヶ月処方した.アレルギー素因が疑われた症例においては抗ヒスタミン薬,吸入ステロイドを1か月処方した.治療効果判定は異常感スコアまたはVASで2段階以上改善(短期間で通院終了した症例はRSI≧3点以上の改善)が得られた症例を症状消失例とした.非奏功群に関しては後に精神科受診とした.【結果】11名の患者は胃食道逆流の関与が考えられたためPPIを内服し,7名で症状の消失を認めた.症状改善のない4名はいずれも心理検査でうつ・不安傾向が強かった (各平均スコア:SDS48.7,STAI(状態:61.5,特性:62.9))ため,精神科受診とした.アレルギー素因の関与が疑われた1名は今回の効果判定基準では改善なしと分類されたものの,本人の自覚症状は軽快していた.2名は内視鏡検査で悪性腫瘍が発見された.【結論】咽喉頭異常感患者の多くに胃酸逆流が関連することが示唆され,その症状改善にはPPIが有効であった.また,PPIの非奏功群における,うつ・不安傾向の関与も示唆された. |
索引用語 |
咽喉頭異常感, 胃食道逆流 |