セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭(良性4)

タイトル 消P-273:

QOL質問紙票を用いた逆流性食道炎に対するランソプラゾール15mgの有用性の検討

演者 佐原 秀(浜松医大・1内科)
共同演者 杉本 光繁(浜松医大・1内科), 岩泉 守哉(浜松医大・1内科), 山田 貴教(浜松医大・1内科), 大澤 恵(浜松医大・光学医療診療部), 金岡 繁(浜松医大・分子診断学), 古田 隆久(浜松医大・臨床研究管理センター), 杉本 健(浜松医大・1内科)
抄録 【目的】消化性潰瘍や逆流性食道炎(GERD)などの酸関連疾患の治療ガイドラインでは,プロトンポンプ阻害剤(PPI)による薬物療法が第一選択薬として推奨されている.高齢化社会が進む中で,長期間に渡るPPI療法が必要となる状況が増しているが,漫然とした薬物療法による医療費の増加が問題となっている.今回我々は,長期間にわたりPPI加療を行っているGERD症例やNSAIDs/LDA内服症例に対してランソプラゾール(LPZ)半量に変更し,その有効性と経済学的利点について比較検討した.【方法】長期間に渡り常用量PPIあるいはH2 blockerを服用しているGERD患者およびLDA,NSAID服用患者を対象に,LPZ15mgに変更し,0週(変更前)と投与後6週±2週に5種類のQOL質問紙票(FSSG,GSRS,GERD-Q,RESQ,QUEST)を実施した.各質問紙票における服用薬変更前後のスコアを比較し,LPZ15mgの有用性を検討した. 【成績】抄録登録時において解析対象症例は22名(平均年齢:67.9±12.9歳)である.変更前/後の各スコアは,FSSG:3.0 (0.0-22.0)/3.0 (0.0-23.0)点,GSRS:21.0 (15.0-35.0)/22.5 (15.0-39.0)点,GERD-Q:6.0 (2.0-7.0)/6.0 (5.0-8.0)点,RESQ:1.0 (0.0-7.0)/0.5 (0.0-16.0)点,QUEST:1.0 (0.0-13.0)/0.0 (-1.0-13.0)点であり,すべての質問紙票のスコアに変更前後で有意差は認めなかった(p = 0.90, 0.57, 0.11, 0.39, 0.31).LPZ15mgに変更後に症状の増悪のために通常量PPIに戻した症例は,1例であった(3%).【結論】長期間にPPI治療が必要な疾患に対して,漫然と同用量で治療を行うことも度々あるが,PPIを減量してもQOLに変化を伴わない症例も多いことから,医療経済面を考慮すると,酸分泌抑制薬長期服用者に対してLPZ15mgなどのPPI半量投与が適切である可能性が示唆された.
索引用語 プロトンポンプ阻害剤, GERD