セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭(良性4)

タイトル 消P-274:

好酸球性食道炎の3例

演者 関川 憲一郎(東京逓信病院・消化器科)
共同演者 小林 克也(東京逓信病院・消化器科), 大久保 政雄(東京逓信病院・消化器科), 田顔 夫佑樹(東京逓信病院・消化器科), 水谷 浩哉(東京逓信病院・消化器科), 光井 洋(東京逓信病院・消化器科), 橋本 直明(東京逓信病院・消化器科), 山口 肇(東京逓信病院・内視鏡センター), 岸田 由起子(東京逓信病院・病理科), 田村 浩一(東京逓信病院・病理科)
抄録 好酸球性食道炎(eosinophilic esophagitis:EE)は近年欧米にて報告例が増え注目されているが,本邦では比較的稀でありまだ十分認識されているとは言い難い.内視鏡異常所見をもとに複数個の食道粘膜生検を施行し,鏡検上高倍率視野で20個以上の好酸球浸潤を粘膜内に認めることで診断される.今回以下の3例を報告する.症例1は70歳女性.糖尿病にて他医に通院中,胸やけおよび食道のつまり感が生じ,逆流性食道炎を疑われプロトンポンプ阻害剤を処方されるも改善せず当科へ紹介受診.胸部CTにて中部から下部食道壁の著明な肥厚を認め,上部消化管内視鏡(GS)ではほぼ全食道で粘膜は白濁および肥厚し,管腔の伸展性も不良であった.生検にてEEと診断し,ブデソニド吸入薬の内服を開始したところ 3週間程度で症状は軽快.約2カ月後のCT所見も著明に改善し,以後内服漸減し維持療法中である.症例2は44歳白人男性.食道つかえ感のため受診.GSにて食道に輪状および縦走溝や多発する小白苔様所見認め,生検病理にて診断.プレドニゾロン 25mg内服を開始し2週程度で症状は軽減.以後漸減し治療終了したが約1年後に再燃し以後もステロイド内服による加療を必要としている.症例3は39歳男性.鮭の生食後約5時間後に蕁麻疹と心窩部痛が出現し,次第に増強したため受診.胃アニサキス症疑いで緊急GS施行したところ胸部食道中部から下部に輪状および縦走溝を認め,また胃体部にはアニサキス虫体の刺入を認め鉗子で摘除した.食道からの生検でEEと診断したが,心窩部痛はGS後まもなく軽快し以後も特に症状はないため経過観察となった.今後医師による EEの認識の向上や疾患そのものが増加することが予測され,日常臨床においてEEに遭遇する機会も増加すると考えられる.難治性の食道炎症状を有する患者の診療においては,鑑別診断にEEも念頭におき診療にあたらないと見落とす可能性が高く注意すべきである.
索引用語 好酸球性食道炎, 食道炎