セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭(悪性1)

タイトル 消P-275:

腹部リンパ節転移を有する胸部食道癌症例の予後についての検討

演者 竹村 雅至(兵庫医大・外科(上部消化管外科))
共同演者 堀 高明(兵庫医大・外科(上部消化管外科)), 笹子 三津留(兵庫医大・外科(上部消化管外科)), 東野 正幸(谷川記念病院), 藤原 有史(大阪市立十三市民病院・外科)
抄録 【目的】胸部食道癌は早期より複数領域にリンパ節転移を来たすため,3領域リンパ節郭清により予後が改善することが知られている.しかし,現在でも腹部に転移を有する症例の予後は不良であるとされている.今回,我々が経験した腹部リンパ節転移例を用いてその予後に関与する因子について検討した.【対象と方法】2000年から2011年までに根治手術を行った胸部食道癌326例中,病理組織学的に腹部リンパ節転移を有する76例(23.3%)を対象とした.これら症例の転移領域,再発形式や予後に影響を与える因子について検討した.【結果】対象は男性:62例・女性:14例で,年齢中央値64歳であった.占居部位はUt:2例・Mt:43例・Lt:31例で,病理組織学的な深達度はpT1b:19例・pT2:12例・pT3:42例・pT4:3例であった.リンパ節転移度は,pN1:14例・pN2:44例・pN3:12例・pN4:6例で,41例で縦隔リンパ節に転移があり,このうち29例に頚部・上縦隔に転移を認めた.腹腔動脈周囲リンパ節は34例に認めた.21例に血行性再発(肺:10例,肝:7例,骨:2例,脳・皮膚:各1例)を,17例にリンパ節再発を認めた.全例の3年・5年生存率はそれぞれ50.9%・38.5%であった.占居部位・壁深達度・進行度では差が無かったが,リンパ節転移個数(1,2個vs 3個以上)で差を認めた.縦隔リンパ節転移陽性例で有意に予後不良であったが(55.1% vs 22.9%,p<0.01),腹腔動脈周囲リンパ節転移の有無では差が無かった.【結語】病理組織学的に腹部リンパ節転移を有する胸部食道癌症例の予後は通常不良であり,血行性再発が多い.このうち,リンパ節転移個数の少ない症例や縦隔リンパ節転移のない症例では長期予後も期待できる.
索引用語 胸部食道癌, 腹部リンパ節転移