セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭(悪性1)

タイトル 消P-279:

食道癌手術症例における術前大腸内視鏡スクリーニング検査の意義

演者 加藤 智也(和歌山県立医大・2外科)
共同演者 中森 幹人(和歌山県立医大・2外科), 中村 公紀(和歌山県立医大・2外科), 尾島 敏康(和歌山県立医大・2外科), 勝田 将裕(和歌山県立医大・2外科), 飯田 武(和歌山県立医大・2外科), 早田 啓治(和歌山県立医大・2外科), 岩橋 誠(和歌山県立医大・2外科DELIMITER泉大津市立病院・外科・内視鏡外科), 瀧藤 克也(和歌山県立医大・2外科), 山上 裕機(和歌山県立医大・2外科)
抄録 【はじめに】食道癌は他臓器悪性腫瘍を合併する頻度が高い.そのため当科では,結腸再建予定の有無によらず,原則として食道癌患者に対して術前大腸内視鏡スクリーニング検査を行っている.今回,食道癌症例に対する術前大腸内視鏡検査の意義について検討した.【対象と方法】2001年1月より2012年5月までに当科で食道癌に対し手術を行った361例のうち,術前に大腸内視鏡検査を行った241例(66.8%)を対象とし大腸同時性病変の合併率および,その治療内容を検討した.【結果】食道癌患者における大腸腫瘍性病変は91例(37.8%)に認めた.その内訳は大腸癌を5例(2.1%)に認め,5例のうちm癌4例に対し術前に内視鏡的粘膜切除術を行った.Sm癌1例に対し食道亜全摘+S状結腸同時切除を行った.また腺腫を86例(35.7%)に認め,そのうちhigh grade adenomaの15例に対し内視鏡的粘膜切除術を行った.腫瘍部位はS状結腸55例(29.6%),横行結腸43例(23.1%),直腸24例(17.6%)の順に多く,肉眼型はIsp83例(46.6%),Is60例(33.7%),Ip20例(11.2%)の順であった.大腸癌,大腸腺腫を合併する危険因子を解析したところ,それぞれCEA高値(p=0.019),75歳以上(p=0.033)が独立した危険因子であった.術前大腸内視鏡検査による合併症は認めず,また大腸癌大腸腺腫の治療に関し合併症を認めた症例はなかった.【結語】食道癌患者において大腸腫瘍を同時に合併する率37.8%と高く,また大腸癌合併頻度も大腸癌検診における内視鏡スクリーニングでの発見率(0.1-1.3%)と比較し高率であった.また術前大腸内視鏡検査及び大腸内視鏡治療は安全に施行できるため,食道癌術前症例において内視鏡スクリーニングは有意義であると考える.
索引用語 食道癌, 大腸内視鏡