セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭(悪性2)

タイトル 消P-283:

抗糖尿病薬Metforminによる食道扁平上皮癌細胞増殖抑制効果に関連するmicroRNAの解析

演者 小林 三善(香川大・消化器・神経内科DELIMITERKKR高松病院・内科)
共同演者 加藤 清仁(香川大・消化器・神経内科), 藤原 新太郎(香川大・消化器・神経内科), 西山 典子(香川大・消化器・神経内科), 三村 志麻(香川大・消化器・神経内科), 豊田 由花(香川大・消化器・神経内科), 野村 貴子(香川大・消化器・神経内科), 野村 圭(香川大・消化器・神経内科), 谷 丈二(香川大・消化器・神経内科), 三好 久昭(香川大・消化器・神経内科), 小原 英幹(香川大・消化器・神経内科), 森 宏仁(香川大・消化器・神経内科), 正木 勉(香川大・消化器・神経内科)
抄録 [目的]近年,抗糖尿病薬であるMetforminが抗癌作用を持つことが報告されている.今回我々はMetforminが食道扁平上皮癌に対して,抗癌作用を持つことを,培養細胞株,実験モデル動物を用いて検討した. [方法]1. in vitroの系:食道扁平上皮癌細胞株T.T,KYSE30,KYSE70を使用しMetformin投与による細胞増殖をcell proliferation assayにより検討し,細胞周期の動態をフローサイトメトリーでMetformin非投与と比較検討した.細胞周期関連分子の発現動態はWestern blot法により検討した.また,Metformin投与により誘導されるmiRNAsを1000分子が搭載されたアレイを用いて網羅的に解析した.2.in vivoの系:KYSE30細胞をヌードマウスに皮下移植し,Metformin投与による癌細胞増殖抑制効果を検討し,また誘導されるmiRNAsについても検討した.[結果]1.in vitroの系:Metformin投与は非投与と比較して,食道扁平上皮癌細胞株で,濃度依存的に増殖を抑制した.Metformin投与は非投与と比較して,細胞周期関連分子であるCyclinD1,Cdk4,Cdk6の発現を抑制した.また,フローサイトメトリーにおける検討でも,Metformin投与は食道扁平上皮細胞癌株をG1アレストに導いていた.さらに,Metformin投与により,62種類のmiRNAsの発現動態が有意に変化しており,Metformin投与と非投与は異なるmiRNAsのクラスターを形成していた.Metformin投与によりアポトーシスに関連するmiR-1246が増強し,食道がんの予後不良miRNAsと評価されているmiR-103/107の発現は抑制されていた.2. in vivoの系:Metformin投与によりヌードマウスに皮下移植された癌細胞の増殖が顕著に抑制された. [結論]Metforminは食道扁平上皮癌に対し,miRNAsを変化させることにより抗癌作用を持つことを証明した.
索引用語 食道扁平上皮癌, メトホルミン