セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭(悪性2)

タイトル 消P-287:

食道表在癌に対するEMRとESDの治療成績の比較検討

演者 田近 正洋(愛知県がんセンター中央病院・内視鏡部)
共同演者 丹羽 康正(愛知県がんセンター中央病院・内視鏡部), 近藤 真也(愛知県がんセンター中央病院・内視鏡部), 田中 努(愛知県がんセンター中央病院・内視鏡部), 水野 伸匡(愛知県がんセンター中央病院・消化器内科), 原 和生(愛知県がんセンター中央病院・消化器内科), 肱岡 範(愛知県がんセンター中央病院・消化器内科), 今岡 大(愛知県がんセンター中央病院・消化器内科), 永塩 美邦(愛知県がんセンター中央病院・消化器内科), 長谷川 俊之(愛知県がんセンター中央病院・消化器内科), 大林 友彦(愛知県がんセンター中央病院・消化器内科), 品川 秋秀(愛知県がんセンター中央病院・消化器内科), 関根 匡成(愛知県がんセンター中央病院・消化器内科), 坂口 将文(愛知県がんセンター中央病院・消化器内科), 吉澤 尚彦(愛知県がんセンター中央病院・消化器内科), 山雄 健次(愛知県がんセンター中央病院・消化器内科)
抄録 【背景】2008年4月から食道表在癌に対するESDが保険適応となり,従来のEMRに比しより大きな病変の切除が可能となった.そのため以前であれば外科手術や化学放射線療法(CRT)の適応とされた症例も初回治療として内視鏡治療を選択することも増え,その治療成績に変化が生じている可能性がある.【目的】当院における食道表在癌に対するEMRとESDの治療成績を比較検討する.【方法】2008年から2011年までに当院で食道癌(SCC)に対する初回治療が内視鏡治療であった連続EMR45症例,ESD49症例の各50病変を対象に,臨床経過を含めた治療成績をretrospectiveに比較した.【結果】腫瘍占拠部位(Ce:Ut:Mt:Lt)はEMR群0:9:30:11に対しESD群1:7:23:19,肉眼型(Is:IIa:IIc:Is+IIc)はEMR群1:1:48:0に対しESD群0:0:49:1で差を認めなかった.平均腫瘍長径はEMR群16.6±10.7mmに対し29.4±13.4mmとESD群で有意に大きかった(P<0.01).一括切除率はEMR群62.0%(31/50)に対し98.0%(49/50)とESD群で有意に高かった(P<0.01).深達度(EP:LPM:MM:SM1:SM2)はEMR群13:22:6:3:6に対しESD群6:31:8:1:4と差は認めなかった.MM以深癌で追加治療はEMR群で10例がCRT,1例が化療単独を行った.3例はMM, ly0, v0にて,SM1の1例は認知症で治療を行わず,ESD群では8例がCRT,1例が化療単独を行った.3例はMM, ly0, v0にて,MM, ly1, v0の1例は高齢で治療は行わなかった.平均観察期間EMR群33.6か月,ESD群25.6か月においてESD群のみ3例で再発を認め(リンパ節再発2例,骨,肝,リンパ節再発1例),1例が死亡した.再発した3例はいずれもSM2で,2例でly+であった.死亡例では組織内に腺癌の成分を含んでいた.【結論】ESDの登場で,EMRより大きな病変の切除が可能となったが,追加治療後はより慎重に経過観察を行う必要がある.
索引用語 食道表在癌, 治療成績