セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭(悪性3)

タイトル 消P-288:

Siewert type Iとtype II-Barrett食道癌の手術症例数の変化と臨床病理学的差異

演者 小出 直彦(長野県立木曽病院・外科DELIMITER信州大・消化器外科)
共同演者 竹内 大輔(信州大・消化器外科), 鈴木 彰(信州大・消化器外科), 宮川 眞一(信州大・消化器外科)
抄録 「目的」外科切除された食道胃接合部癌のtype I(AEGI)とtype II(AEGII)のうちBarrett腺癌(BA)の症例数の変遷と臨床病理学的差異を検討した.「方法」手術を行った食道癌278例(1990年代の前期84例,2000年以降の後期194例)と胃癌726例(前期318例,後期563例),計1159例(前期402例,後期757例)をもとに切除標本肉眼所見よりAEGIとAEGIIを分類し,病理組織学的にBAと診断された28例(I-BA 20例とII-BA 8例)を対象とした.「結果」症例数の変化では前期AEGIの4例(1%/全体,4.8%/食道癌)中3例がBA(0.75%/全例,4.8%/食道癌),後期AEGI 20例(2.7%/全体,10.3%/食道癌)のうち17例がBA(2.2%/全例,8.8%/食道癌)であった.AEGIIでは前期20例(5%/全体,6.3%/胃癌)にBAは認められず,後期 AEGII 55例(7.3%/全体,9.8%/胃癌)中8例がBA(1.1%/全例,4.1%/食道癌,1.4%/胃癌)であった.次にI-BAとII-BAの臨床病理学的差異を検討すると,I-BAにおいて腫瘍径が大きく,進行癌で,リンパ節転移個数が多く認められた.表在癌はI-BAの7例(35%)とII-BAの7例(87.5%)に認められ,II-BAの3例に前治療としてESDが行われていた.I-BAとII-BAの表在癌の間には臨床病理学的差異は認められなかった.しかしI-BAのpT1aとpT1bの2例(28.6%),そしてII-BAのpT1aとpT1bの2例(28.6%)においてリンパ節転移が認められた.なおI-BAの2例に術前そして8例に術後の化学療法が行われた.遠隔期治療成績はI-BAでは術後肝転移とNo.16リンパ節再発が認められ,II-BAの症例と比べて不良であった.「結語」AEGIおよびAEGIIは2000年代に入り増加し,I-BAとII-BAも増加していた.I-BAはII-BAより進行した症例が多く認められ,その結果として治療成績が不良で,術前や術後の補助化学療法を検討する余地があった.一方,両者の表在癌においてその3割近い症例にリンパ節転移を認め,手術以外の治療法を選択する際には注意が必要であると考えられた.
索引用語 バレット腺癌, 食道胃接合部癌