セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭(悪性3)

タイトル 消P-289:

食道癌内視鏡切除後にみられる転移再発の特徴

演者 山階 武(大阪府立成人病センター・消化管内科)
共同演者 石原 立(大阪府立成人病センター・消化管内科), 飯石 浩康(大阪府立成人病センター・消化管内科)
抄録 【背景】内視鏡治療の進歩により,多くの表在食道癌が内視鏡的に切除されるようになってきたが,転移再発に関する検討は少ない.今回我々は内視鏡切除後にみられる転移再発の特徴を明らかにするため,内視鏡切除後の経過観察例における再発時期や部位,再発後経過を外科手術症例と比較した.【方法】1995年1月から2010年11月までに当院で内視鏡切除した症例のうち,cT1N0の扁平上皮癌症例(ER群)を対象とし,深達度別の再発率を検討した.またER群における再発の特徴を,ほぼ同時期に外科切除されたcT1N0食道癌(Ope(T1N0)群),cT2-3N1もしくはcT1-3N1食道癌(Ope(進行)群)症例と比較した.【成績】ER群は402人(平均年齢67歳,男女比327:75)で,EP/LPM癌280人,MM癌70人,SM1癌(SM200μm以下)16人,SM2癌(>SM200μm)36人であった.402例中,54例に化学放射線療法を中心とした追加治療が行われた.転移再発は14名(3.5%)でEP/LPM癌が1例,MM/SM1癌が4例,SM2癌が9例であった.追加化学放射線療法の照射野内に再発したのが,1例,境界部から照射野外に再発したのが9例であった.EP/LPM癌,MM/SM1癌,SM2癌における5年累積転移割合はそれぞれ0.4%,8%,36%,脈管侵襲陰性例と陽性例は1%と24%で,それぞれ有意差がみられた(P<0.01).ER群の転移の多く(71.4%)は領域リンパ節内であったが,Ope(T1N0)群やOpe(進行)群の転移が領域リンパ節内のみにみられたのは,それぞれ16.7%,21.8%と比較的稀であった(P<0.01).ER群とOpe(T1N0)群の再発中央日は524日と441日であったが,Ope(進行)群は217日とより早期にみられていた(P <0.01).ER群における再発後生存期間中央値は596日で,Ope(T1N0)群の396日やOpe(進行)群の200日に比べてやや長くなっていた(P=0.045).【まとめ】食道癌内視鏡切除後,3.5%に転移再発がみられた.転移再発のリスクは深達度や脈管侵襲と密接に関連していた.ER群の転移部位は,Ope群と比べて領域リンパ節内に多かった.またER群では,Ope(進行)群と比べて再発時期は遅く,再発後長期に生存していた.
索引用語 食道癌転移, 内視鏡治療