セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭(悪性3)

タイトル 消P-291:

消化管内視鏡と胸腔鏡下手術による低侵襲性ハイブリッドアプローチにより胸腔鏡下で切除しえた食道原発の巨大MALT lymphomaの1例

演者 藤田 武郎(国立がん研究センター東病院・食道外科)
共同演者 大野 康寛(国立がん研究センター東病院・消化管内科), 小島 隆嗣(国立がん研究センター東病院・消化管内科), 矢野 友規(国立がん研究センター東病院・消化管内科), 土井 俊彦(国立がん研究センター東病院・消化管内科), 藤井 誠志(国立がん研究センター東病院・臨床開発センター・臨床腫瘍病理部), 大幸 宏幸(国立がん研究センター東病院・食道外科)
抄録 【はじめに】消化管は節外発生lymphomaの好発部位であるが,食道原発lymphomaの報告は極めてまれである.今回我々は術前診断に難渋し消化管内視鏡と胸腔鏡下手術による低侵襲性ハイブリッドアプローチにより胸腔鏡下で切除しえた巨大食道原発Mucosa-associated lymphoid tissue (MALT)lymphomaの1例を経験したので報告する.【症例】50歳代男性.既往歴・家族歴に特記事項なし.嚥下困難の精査で食道病変を指摘され,当院紹介受診.食道造影にて胸部上部食道に130mm大の腫瘍を認め,消化管内視鏡では同病変は正常粘膜に被覆され粘膜下腫瘍と診断した.CTでは周囲臓器への浸潤はなく腫大リンパ節や遠隔転移病変は認めなかった.病変部の生検で診断が得られなかったが,胸部食道原発の粘膜下腫瘍を第1に考え手術を施行した.手術は分離換気で行い手術体位は左半腹臥位とした.全身麻酔導入後に,消化管内視鏡下にムコアップ®をインジゴカルミンと希釈した溶液を粘膜下層に十分量注入し内腔より腫瘍を壁外方向に偏移させた.胸腔鏡アプローチは小開胸を設けない3ポートとし,10mmHgの気胸下に開始した.術中内視鏡併用下に腫瘍位置を確認し腫瘍の頭尾側を全周性に剥離した.次に食道筋層を切開し腫瘍を確認したのち切除を行い,切除腫瘍はエンドキャッチで回収した.食道壁は体腔内縫合閉鎖した.肉眼的に腫瘍は100mm大の乳白色充実性腫瘍であった.病理組織学的には胚中心の形成を伴う異型リンパ球の増殖像で形成を認めた.免疫組織化学的染色ではBリンパ球とみなされ,Low grade MALT lymphomaと診断した.
索引用語 MALT lymphoma, 食道