セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

食道・咽頭(悪性3)

タイトル 消P-292:

化学放射線療法にて加療した頸部食道腺癌の3例

演者 藤井 茂彦(京都桂病院・消化器センター消化器内科)
共同演者 日下 利広(京都桂病院・消化器センター消化器内科), 平田 大善(京都桂病院・消化器センター消化器内科), 大岩 容子(京都桂病院・消化器センター消化器内科), 田中 秀行(京都桂病院・消化器センター消化器内科), 糸川 芳男(京都桂病院・消化器センター消化器内科), 冨田 友実(京都桂病院・消化器センター消化器内科), 後藤 規弘(京都桂病院・消化器センター消化器内科), 越川 頼光(京都桂病院・消化器センター消化器内科), 山口 大介(京都桂病院・消化器センター消化器内科), 臼井 智彦(京都桂病院・消化器センター消化器内科), 田中 泰敬(京都桂病院・消化器センター消化器内科), 中井 喜貴(京都桂病院・消化器センター消化器内科), 畦地 英全(京都桂病院・消化器センター消化器内科), 國立 裕之(京都桂病院・消化器センター消化器内科)
抄録 【背景】食道癌の多くは扁平上皮癌であり腺癌は少なく,その中でも頸部食道病変は稀である.化学放射線療法(CRT)にて加療した頸部食道腺癌の3例を経験したので報告する.【症例1】60歳代,男性.主訴は嚥下時違和感.上部消化管内視鏡検査(GIE)にて食道入口部から門歯18 cmに2型腫瘍をみとめ,生検にて腺癌と診断.気管浸潤と頸部食道傍リンパ節の腫大をみとめ,cT4N1M0, stage IVa. FP (5FU 700 mg/m2, day 1-4, 29-32 + CDDP 70 mg/m2, day 1, 29) + RT (頸部上縦隔,64Gy)にてCRT施行.Grade 3の皮膚炎,口内炎,食道狭窄をみとめ,一時的な胃瘻造設を要した.効果判定はCR.CRT後3年10ヶ月で無再発.【症例2】70歳代.女性.主訴は嚥下困難.GIEにて門歯15 cmにびらんを伴う隆起性病変をみとめ,生検にて腺癌と診断.狭窄を伴い極細径内視鏡の通過は不可.頸部食道傍リンパ節の腫大をみとめ,cT3N1M0, stage III.FP + RT (頸部上縦隔,57.6Gy)にてCRT施行.Grade 3の倦怠感と食欲不振をみとめた.効果判定はCR.CRT後2年7ヶ月で無再発.【症例3】60歳代,男性.主訴は嚥下困難.GIEにて食道入口部から門歯27 cmに3型腫瘍とみとめ,生検にて腺癌と診断.気管浸潤と鎖骨上・胸部上部食道傍リンパ節に腫大をみとめ,cT4N2M0, stage IVa.FP + RT (頸部上縦隔,57.6Gy)にてCRT施行.効果判定はPRであったが癌性腹膜炎,癌性リンパ管症を合併しCRT後4ヶ月で死亡.【まとめ】CRTにて加療した頸部食道腺癌の3例を経験し2例でCRが得られた.頸部食道癌の治療において発音や嚥下機能温存と根治性の両面を考慮する必要があるが,その治療は胸部食道癌と同様に外科的切除が第一選択となり,切除不能例や手術拒否例に対してはCRTが選択される.腺癌においても扁平上皮癌と同等のCRTの効果が報告されており,今後頸部食道腺癌に対するCRT症例の集積が必要である.
索引用語 食道腺癌, 化学放射線治療