抄録 |
【症例】30歳台男性,十二指腸潰瘍にて服薬加療後,およびHerIcobacter.PylorI除菌後の経過観察目的で施行した上部消化管内視鏡にて異常を指摘され,精査加療目的に当院紹介となった.身長163.1cm,体重84.1kg,BMI31.6,既往歴・家族歴に特記事項は認めなかった.嗜好歴に喫煙歴はなく,飲酒歴は機会飲酒程度であった.当院での上部消化管内視鏡では,上切歯列38cmよりBarrett食道を認め,その右前壁側にSCJをまたぐ形で2cm大の隆起性病変を認めた.食道造影検査ではAe領域に不整形のバリウム透瞭像を呈する腫瘤陰影であり,側面像では1.5cm長の壁硬化像を伴っていた.EUSでは腫瘍EchoはSM深層に及ぶHypoechoIc LesIonとして描出された.CTでは明らかな壁肥厚像は認めず,リンパ節転移や遠隔転移は認めなかった.以上より,Barrett食道癌 Ae Type0-Is, cT1b(SM3)N0M0StageIの診断で,2012年3月,縦隔鏡補助下下部食道・噴門側胃切除,D2郭清,Double Tract再建術を施行した.切除検体はAeを主座としたSSBEに接して存在するType0-Is病変(Φ2.2×2.0cm)を認めた.術後経過良好で術後14病日退院した.術後病理診断はBarrett食道癌,adenocarcInoma(tub1),INFb,ly0,v2,Ae,Type0-Is, T1b(SM3)N0M0StgaI,PM0,DM0,RM0であった.【まとめ】近年,GERD症例の増加に伴うBarrett食道の有病率の増加が指摘されている.それに伴い,本邦におけるBarrett食道癌の報告例は近年増加しているが,自験例のように若年発症のBarrett食道表在癌の切除例の報告は極めてまれである.当院でも若年者における食道癌は増加しているが,当院での若年者食道癌の検討や文献的考察も含め,今回報告する. |