セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
胃・十二指腸(基礎)
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タイトル |
消P-294:カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB: Potassium-Competitive Acid Blocker) “RQ-00000004”の胃酸分泌抑制作用と空腹期胃運動に与える影響
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演者 |
財 裕明(東邦大・総合診療・救急医学) |
共同演者 |
高橋 伸行(ラクオリア創薬(株)), 多治見 政臣(ラクオリア創薬(株)) |
抄録 |
【目的】消化器疾患の病態生理には胃酸が深く関わっており,より早く安定的に効果する胃酸分泌抑制薬へのニーズは高い.今回我々は新規P-CAB化合物であるRQ-00000004(以下RQ-4)の胃酸分泌抑制作用と空腹期胃運動に与える影響を検討した.【方法】意識下雄性ビーグル犬を使用.実験1)胃瘻よりpH電極を胃腔内に留置し胃内pHを測定.実験2)胃体部,胃前庭部,十二指腸および結腸漿膜面の輪状筋方向にフォーストランスデューサーを縫着し消化管運動を測定.ペンタガストリン(PG)は持続皮下投与(6μg/kg/h)し,RQ-4はPG投与開始から1.5時間後に経口投与した.【成績】実験1)PG投与で胃内pHは1~2に維持された.RQ-4(0.3,1,3mg/kg)は用量依存的に胃内pHを上昇させ,3 mg/kgでは投与後約1時間で中性域に達し試験終了時まで持続した(Median pH; 6.7±0.6,pH>4; 89.2±4.5% n=4).一方オメプラゾール(1.2mg/kg)の単回投与は胃内pHにほとんど影響せず,反復投与5日目で効果は明確となったが,中性域で安定することはなかった(Median pH; 4.0±1.0,pH>4; 70.4±13.4% n=4).実験2)PG投与下の消化管運動は食後期の胃運動に類似し,空腹期伝播性消化管運動(IMC; phase III contraction)の発生を認めなかった.RQ-4(3 mg/kg)は,投与後約1時間でphase III運動を回復させた.【結論】RQ-4はPG投与下の胃酸分泌を単回経口投与で強力かつ持続的に抑制し,その効果発現までに要する時間はオメプラゾールに比し極めて短かった.RQ-4のこのような効果は,胃酸が関与する空腹期消化管運動異常の速やかな正常化に寄与したと考えられ,胃酸が原因の消化管運動異常の治療にも応用が可能であろう. |
索引用語 |
P-CAB, 消化管運動 |