セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(基礎)

タイトル 消P-296:

GROα を介した IL-22 の胃癌細胞浸潤促進作用

演者 福井 広一(兵庫医大・内科(上部消化管科))
共同演者 X. Zhang(兵庫医大・内科(上部消化管科)), C. Sun(兵庫医大・内科(上部消化管科)), 山崎 尊久(兵庫医大・内科(上部消化管科)), 近藤 隆(兵庫医大・内科(上部消化管科)), 池原 久朝(兵庫医大・内科(上部消化管科)), 富田 寿彦(兵庫医大・内科(上部消化管科)), 大島 忠之(兵庫医大・内科(上部消化管科)), 渡 二郎(兵庫医大・内科(上部消化管科)), 三輪 洋人(兵庫医大・内科(上部消化管科))
抄録 【背景・目的】 インターロイキン 22 (IL-22) は 従来のTh1 と Th2 どちらにも分類されないサイトカインであり,その受容体が消化管粘膜上皮細胞に発現するが,消化管癌における役割は明らかでない.我々はこれまで,IL-22 が胃癌細胞の浸潤能を促進することを報告し,IL-22 刺激によって癌細胞で発現増強する浸潤促進候補遺伝子をマイクロアレイでスクリーニングした結果 GROα (growth-regulated oncogene α) に注目した.そこで本研究では,IL-22 の GROα を介した胃癌細胞に対する浸潤促進作用について検討した.【方法】 1. AGS 胃癌細胞を IL-22 (0-100 ng/ml) および GROα (0-100 ng/ml) で用量依存的にで刺激し,その浸潤能を BioCoat Matrigel invasion chamber で評価した.また,抗 IL-22 抗体 (10 μg/ml) および抗 GROα 抗体でそれぞれの作用を抑制し,同様の invasion assay を行った.2. AGS 胃癌細胞を IL-22 で刺激し,胃癌細胞における GROα mRNA の発現変化を realtime RT-PCR 法で検討した.加えて,培養液中に分泌された GROα 蛋白を ELISA 法を用いて定量的に評価した.3. IL-22 刺激によって促進した浸潤能が抗 GROα 抗体投与によって抑制されるか invasion assay で検討した.【結果】 1. IL-22 と GROα は共に用量依存的に胃癌細胞の浸潤能を促進させ,その効果は各々の抗体を投与することによって抑制された.2. IL-22 刺激により AGS 細胞における GROα mRNA の発現は用量依存的に増強した.また,同時に培養液中に分泌される GROα 蛋白量も有意に増加した.3. IL-22 刺激によって亢進した AGS 細胞の浸潤能は抗 GROα 抗体の投与によって有意に抑制された. 【結論】 IL-22 は GROα を介して胃癌細胞の浸潤能を亢進させる可能性が示唆された.
索引用語 浸潤, 胃癌