セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(基礎)

タイトル 消P-297:

増殖因子からみた胃ESD後潰瘍治療におけるPPIとポラプレジンクの併用効果

演者 吉田 憲正(京都第一赤十字病院・消化器センター)
共同演者 戸祭 直也(京都第一赤十字病院・消化器センター), 寺崎 慶(京都第一赤十字病院・消化器センター), 中野 貴博(京都第一赤十字病院・消化器センター), 陶山 遥介(京都第一赤十字病院・消化器センター), 豊川 優季(京都第一赤十字病院・消化器センター), 間嶋 淳(京都第一赤十字病院・消化器センター), 田中 信(京都第一赤十字病院・消化器センター), 川上 巧(京都第一赤十字病院・消化器センター), 鈴木 隆裕(京都第一赤十字病院・消化器センター), 世古口 悟(京都第一赤十字病院・消化器センター), 中村 英樹(京都第一赤十字病院・消化器センター), 佐藤 秀樹(京都第一赤十字病院・消化器センター), 奥山 祐右(京都第一赤十字病院・消化器センター), 木村 浩之(京都第一赤十字病院・消化器センター), 太田 宗之(京都第一赤十字病院・消化器センター), 吉田 寿一郎(京都第一赤十字病院・消化器センター), 松村 晋矢(京都第一赤十字病院・消化器センター), 山田 真也(京都第一赤十字病院・消化器センター)
抄録 【背景と目的】通常の消化性潰瘍と同様に胃ESD後潰瘍の治療にも,PPIを中心とした酸分泌抑制剤が使用されることが多い.近年,PPIに各種の粘膜防御剤を併用することにより,ESD後潰瘍治癒の促進および良質な潰瘍瘢痕(肉芽性隆起の抑制など)がえられることが報告されている.潰瘍治癒には,酸分泌抑制や粘液・血流の増加のみならず,各種増殖因子の動態も重要である.今回,抗炎症効果および細胞増殖効果を有するポラプレジンク(亜鉛とLカルノシンの合剤)とPPIを併用することにより,ESD後潰瘍治療時における粘膜内増殖因子(EGF, FGF2, TGFβ, IGF-I)の変動を検討した.【方法】早期胃癌ESD後4日間はオメプラゾール40mg静注をおこなった.その後,無作為に1群(オメプラゾール20mg単独内服)と2群(オメプラゾール20mg+ポラプレジンク150mg併用内服)に振り分け,ESD後1週および8週後に上部消化管内視鏡検査を施行し,潰瘍辺縁から2ヶ生検を行った.採取検体よりRNAを抽出・精製し,SYBR Green Iを用いたReal-time RT-PCRを施行し,EGF, FGF2, TGFβ, IGF-IのmRNAを測定した.【結果】1(PPI)群に比し,2(PPI+ポラプレジンク)群では,8週後の胃粘膜内でのEGF(P<0.05)およびIGF-I(P<0.05)が増加していた.潰瘍治癒像の隆起は1群(3/27例)で11.1%であったが,2群(0/23例)では認められなかった.また,8週後のS期移行率は,1群(24/27例)で88.9%,2群(22/23例)で95.7%と有意差はみられなかった.【結語】胃ESD後8週での潰瘍辺縁粘膜内において,PPIとポラプレジンク併用群ではPPI単独群に比し,EGFおよびIGF-Iが有意に増加していた.ポラプレジンクはEGF, IGF-Iを増加させることにより,質の高い潰瘍治癒に寄与する可能性がある.
索引用語 ESD後潰瘍, 増殖因子