共同演者 |
戸祭 直也(京都第一赤十字病院・消化器センター), 寺崎 慶(京都第一赤十字病院・消化器センター), 中野 貴博(京都第一赤十字病院・消化器センター), 陶山 遥介(京都第一赤十字病院・消化器センター), 豊川 優季(京都第一赤十字病院・消化器センター), 間嶋 淳(京都第一赤十字病院・消化器センター), 田中 信(京都第一赤十字病院・消化器センター), 川上 巧(京都第一赤十字病院・消化器センター), 鈴木 隆裕(京都第一赤十字病院・消化器センター), 世古口 悟(京都第一赤十字病院・消化器センター), 中村 英樹(京都第一赤十字病院・消化器センター), 佐藤 秀樹(京都第一赤十字病院・消化器センター), 奥山 祐右(京都第一赤十字病院・消化器センター), 木村 浩之(京都第一赤十字病院・消化器センター), 太田 宗之(京都第一赤十字病院・消化器センター), 吉田 寿一郎(京都第一赤十字病院・消化器センター), 松村 晋矢(京都第一赤十字病院・消化器センター), 山田 真也(京都第一赤十字病院・消化器センター) |
抄録 |
【背景と目的】通常の消化性潰瘍と同様に胃ESD後潰瘍の治療にも,PPIを中心とした酸分泌抑制剤が使用されることが多い.近年,PPIに各種の粘膜防御剤を併用することにより,ESD後潰瘍治癒の促進および良質な潰瘍瘢痕(肉芽性隆起の抑制など)がえられることが報告されている.潰瘍治癒には,酸分泌抑制や粘液・血流の増加のみならず,各種増殖因子の動態も重要である.今回,抗炎症効果および細胞増殖効果を有するポラプレジンク(亜鉛とLカルノシンの合剤)とPPIを併用することにより,ESD後潰瘍治療時における粘膜内増殖因子(EGF, FGF2, TGFβ, IGF-I)の変動を検討した.【方法】早期胃癌ESD後4日間はオメプラゾール40mg静注をおこなった.その後,無作為に1群(オメプラゾール20mg単独内服)と2群(オメプラゾール20mg+ポラプレジンク150mg併用内服)に振り分け,ESD後1週および8週後に上部消化管内視鏡検査を施行し,潰瘍辺縁から2ヶ生検を行った.採取検体よりRNAを抽出・精製し,SYBR Green Iを用いたReal-time RT-PCRを施行し,EGF, FGF2, TGFβ, IGF-IのmRNAを測定した.【結果】1(PPI)群に比し,2(PPI+ポラプレジンク)群では,8週後の胃粘膜内でのEGF(P<0.05)およびIGF-I(P<0.05)が増加していた.潰瘍治癒像の隆起は1群(3/27例)で11.1%であったが,2群(0/23例)では認められなかった.また,8週後のS期移行率は,1群(24/27例)で88.9%,2群(22/23例)で95.7%と有意差はみられなかった.【結語】胃ESD後8週での潰瘍辺縁粘膜内において,PPIとポラプレジンク併用群ではPPI単独群に比し,EGFおよびIGF-Iが有意に増加していた.ポラプレジンクはEGF, IGF-Iを増加させることにより,質の高い潰瘍治癒に寄与する可能性がある. |