セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(基礎)

タイトル 消P-298:

慢性胃炎におけるmiRNA発現変動:H.pylori感染および胃部位別miRNAの検討

演者 松島 加代子(長崎大・消化器内科)
共同演者 磯本 一(長崎大・消化器内科DELIMITER長崎大・光学医療診療部), 卜部 繁俊(長崎大・消化器内科), 福田 浩子(長崎大・消化器内科), 橋口 慶一(長崎大・消化器内科), 庄司 寛之(長崎大・消化器内科), 南 ひとみ(長崎大・消化器内科), 赤澤 祐子(長崎大・消化器内科), 山口 直之(長崎大・消化器内科DELIMITER長崎大・光学医療診療部), 塩澤 健(長崎大・消化器内科), 大仁田 賢(長崎大・消化器内科), 竹島 史直(長崎大・消化器内科), 中尾 一彦(長崎大・消化器内科)
抄録 【目的】microRNA(miRNA)は,組織特異的な発現パターンを示し,その発現異常は様々な疾患の発症や病勢に関与しうる.H.pylori(HP)感染における胃粘膜でのmiRNA発現変動を検討することは胃発癌メカニズムを知る上でも重要と思われ,今回の検討に至った.
【方法】研究1:HP 陽性・陰性者別に前庭部胃粘膜から生検,抽出したRNAを用い, マイクロアレイにて網羅的に発現解析を行った.有意変動を来したmiRNA は,さらにqRT-PCRにて発現定量を行った(HP陽性22 例―陰性14 例).
研究2:胃前庭部,体部胃粘膜(HP陽性4 例―陰性4 例)を内視鏡的に採取し,抽出したRNAを用いてマイクロアレイ解析を行った.HPの有無に関わらず部位別で発現変動のあったmiRNAに対し,qRT-PCRを行った.
【結果】研究1:マイクロアレイではHP感染の有無により55 種のmiRNA が有意な変動を示したが,うち53 種がHP陽性者で低発現,2 種のみが高発現であった. これら55 種のmiRNA のうち46 種をqRT-PCR 法により定量した.HP陽性胃粘膜ではmiR-223のみ高発現を示し,30 種のmiRNA が低発現を示した.この30 種のうち14 種では除菌後3 カ月に陰性者と同等レベルに発現回復した.また,これらのmiRNAの多くはシドニー分類との対比検討で胃炎の活動度や慢性炎症との関連性が認められた.
研究2:HPの有無で群別すると,前庭部では5種,胃体部では1種のmiRNAに有意変動がみられた.前庭部・体部間での比較ではHP陽性群で4種,HP陰性群で17種のmiRNAに有意変動がみられた.HP感染に関わらず部位別で変動していたmiR-135bに着目しqRT-PCRで確認したところ,前庭部で有意に高値を示していた.
【結語】HP感染によるmiRNA の発現変動のみならず,体部・前庭部間におけるmiRNAの発現変動も明らかにした.これらの結果をもとに,発癌症例の部位別miRNAなどHP感染胃粘膜をとりまく微小環境について更に評価を行っていきたい.
索引用語 H.pylori, miRNA