セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(基礎)

タイトル 消P-299:

スンクス(Suncus murinus)胃酸分泌調節におけるモチリンとグレリンの作用

演者 坂田 一郎(埼玉大大学院・理工学研究科)
共同演者 島田 佳明(埼玉大大学院・理工学研究科), 田中 亨(城西大), C. Goswami(埼玉大大学院・理工学研究科), 坂井 貴文(埼玉大大学院・理工学研究科)
抄録 【目的】ペプチドファミリーであるモチリンとグレリンは空腹期消化管運動を刺激するホルモンである.本研究では,両ホルモンを産生する小型実験動物である食虫目スンクス(Suncus murinus)を用いて,モチリンとグレリンの胃酸分泌刺激作用を検討した.【方法】麻酔下のスンクス胃内へカテーテルの挿入後,カテーテルから生理食塩水を一定速度で胃内へ灌流し,幽門側のカテーテルから体外へ排出させた.排出液を10分間隔で採集し,中和滴定法により胃酸分泌量を測定した.ヒスタミン,グレリン,モチリンを鎖骨下静脈より投与し,胃酸分泌量の変化を記録した.また,ヒスタミンH2受容体アンタゴニストであるファモチジン処理によるモチリンとグレリンの胃酸分泌量の変化を測定した.【成績】ヒスタミン(1, 3 mg/kg)を鎖骨下静脈内へ投与したところ,pHの低下と用量依存的な胃酸分泌量の増加が観察された.グレリン(0.1,1, 10 μg/kg)投与では,pHおよび胃酸分泌量の変化はヒスタミンと比較してわずかであったのに対し,モチリン(0.1,1,10 μg/kg)投与では用量依存的に胃酸分泌量が増加し,pHも低下した.また,グレリンとモチリンの共投与では投与直後にpHが減少し,相加的に胃酸分泌を刺激した.グレリンとモチリンの共投与による胃酸分泌は,ヒスタミンH2受容体アンタゴニストであるファモチジンの前処理によって抑制された.【結論】モチリンの新たな生理作用である胃酸分泌促進効果を見出した.また,モチリンとグレリンが相加的に胃酸分泌を促進することを明らかにした.さらに,モチリン及びモチリン/グレリンによる胃酸分泌刺激効果はヒスタミンを介した作用であることが示された.
索引用語 モチリン, グレリン