セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(良性1)

タイトル 消P-302:

Celiac Artery Compression Syndrome(CACS)を機能性ディスペプシアと診断しないためのポイント-その類似点と相違点-

演者 楠 裕明(川崎医大・総合臨床医学)
共同演者 春間 賢(川崎医大・消化管内科), 畠 二郎(川崎医大・検査診断学), 塚本 真知(川崎医大・総合臨床医学), 山下 直人(川崎医大・総合臨床医学), 本多 啓介(川崎医大・総合臨床医学), 井上 和彦(川崎医大・総合臨床医学), 石井 学(川崎医大・消化管内科), 藤田 穣(川崎医大・消化管内科), 松本 啓志(川崎医大・消化管内科), 垂水 研一(川崎医大・消化管内科), 今村 祐志(川崎医大・検査診断学), 眞部 紀明(川崎医大・検査診断学), 鎌田 智有(川崎医大・消化管内科), 塩谷 昭子(川崎医大・消化管内科)
抄録 機能性ディスペプシア(FD)と誤診されることの多い器質的疾患にCeliac Artery Compression Syndrome(CACS)があるが,われわれは5例のCACS症例を経験したため,両者の類似点と相違点を示す.CACSの診断はScholbachが提唱した腹腔動脈(CA)血流を用いた基準を用いた.【結果】症例の年齢は13~46歳(中央値38歳)であり,5例中4例が女性であった.症状は全例食事中や食後30分までの心窩部や上腹部の痛みであったが,2例では当初食事との関連性を認識していなかった.食後の下痢を訴えたのは1例のみであった.過去に開腹手術の既往があったのは3例であったが,いずれも手術から発症まで6年以上経過していた.病悩期間は1例のみ1年であったが,他の4例は数年以上の病悩期間があった.CAの超音波観察では,全例にCAの呼吸性の変位が認められ,CAの安静時平均流速は236cm/秒,吸気での流速低下は平均68.7 cm/秒であった.CTによるAngiographyでは,4例でCA根部での狭小化が証明されたが,1例では認めなかった.体外式超音波と液体食を用いた胃十二指腸運動機能検査は4例に施行されたが,全例に近位胃拡張能の低下がみられ,十二指腸胃逆流の増加が3例,胃排出能低下が1例に認められた.全例が確定診断まではFDや不定愁訴と考えられていた.【まとめ】CACSの腹痛は食事と関連していることが多く,詳細に問診すれば心窩部痛症候群との鑑別は可能であるが,全例で消化管運動機能異常を伴っていたため,症状だけでの鑑別は実際には困難と思われた.最終的にはCAの血流測定が必要であるが,CAの呼吸性の変位に気付くことがCACS診断の第一歩と考えられた.また,CTのは呼気で撮影することが重要である.【結語】難治性FDではCACSを念頭に置いた再チェックも必要である.
索引用語 Celiac Artery Compression Syndrome, 機能性ディスペプシア