セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(良性1)

タイトル 消P-303:

機能性ディスペプシアにおける回腸の運動亢進-CTボリュームナビゲーション併用の超音波法とParticle Imaging Velocimetryを用いて-

演者 洲崎 文男(横浜南共済病院・消化器内科)
共同演者 小谷 祥仁(横浜南共済病院・消化器内科), 岡崎 博(横浜南共済病院・消化器内科), 有本 純(横浜南共済病院・消化器内科), 小宮山 哲史(横浜南共済病院・消化器内科), 工藤 香奈(横浜南共済病院・消化器内科), 川西 彩(横浜南共済病院・消化器内科), 山田 博昭(横浜南共済病院・消化器内科), 藤井 徹朗(横浜南共済病院・消化器内科), 寺田 昌弘(横浜南共済病院・消化器内科), 西郡 修平(横浜南共済病院・消化器内科), 篠原 歩(横浜南共済病院・消化器内科)
抄録 【目的】機能性ディスペプシア(以下FD)において下部消化管運動の異常について知見が乏しいが,病態上は重要な要因と考えられる.われわれはFD症例を対象にCTボリュームナビゲーション機能により消化管を同定し運動を超音波法で描出すること,運動状態をParticle Imaging Velocimetry(以下PIV)による画像解析で評価することを試みたので報告する.なおPIVは濃度分布パターンから動画内の動きを可視化・数値化する手法である.【方法】1.対象:腹部CTを施行済でROME基準を満たすFD患者15名(EPS6名PDS9名),対照として腹部症状がなく重篤な器質的疾患が否定された8名を対象とし自覚症状をGSRS問診票で評価した.2.超音波検査:TOSHIBA Aplio500を用い,試験食は用いず食後4時間で行った.CTボリュームナビゲーションにより空腸・回腸・終末回腸・盲腸・上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸を同定し,運動状態の安定した30秒間をハードディスクに記録した.FD群は治療前後で検査を行った.3.画像解析:得られた超音波動画をPIVで解析し,関心領域の平均移動度を求め,消化管運動の強度を4段階に分類した(弱い方から順にGrade1,2,3,4).【成績】GSRSの総点数,腹痛ドメイン,消化不良ドメインの平均値はFD群でそれぞれ34.3,7.5,8.0,対照群で19,3.7,4.3とFD群で有意に高値であった.回腸と終末回腸における消化管運動のGradeはFD群でそれぞれ2.8,2.4,対照群で1.8,1.6,FD群治療後で1.7,1.4であり,FD群で運動の亢進と治療による低下が認められた.他の消化管部位では特に差は認められなかった.【結論】FDでは回腸を中心に運動亢進があることが示唆された.自覚症状の発現や過敏性腸症候群とのオーバーラップなどFDの病態生理に関係する所見と考えられる.
索引用語 機能性ディスペプシア, 消化管運動