セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(良性1)

タイトル 消P-304:

NBI拡大内視鏡による胃粘膜形態の観察

演者 田原 智満(藤田保健衛生大・消化管内科)
共同演者 柴田 知行(藤田保健衛生大・消化管内科), 大久保 正明(藤田保健衛生大・消化管内科), 河村 知彦(藤田保健衛生大・消化管内科), 市川 裕一朗(藤田保健衛生大・消化管内科), 石塚 隆充(藤田保健衛生大・消化管内科), 長坂 光夫(藤田保健衛生大・消化管内科), 中川 義仁(藤田保健衛生大・消化管内科), 平田 一郎(藤田保健衛生大・消化管内科)
抄録 背景: 我々は,これまでに胃体部のNBI拡大内視鏡所見を正常像であるNormal(正常なSECN像)Type 1(やや腫大したピット構造,不整または不明瞭なSECN像), Type 2(高度に腫大,延長したピット構造,密度を増した不整な血管像)Type 3(明瞭に区切られた楕円形または延長したピット構造,明瞭なコイル状の血管像)に分類し,H. pylori 感染,組織学的胃炎との関連を検討してきた.目的・対象・方法: 検討(1)NBI拡大内視鏡による胃粘膜形態と胃粘膜全体の萎縮の関連を検討するために,106例につき非腫瘍胃体部大弯のNBI拡大内視鏡像と,血清ペプシノーゲン(PG)値,内視鏡的萎縮の程度を対比した.検討(2)上部消化管内視鏡を施行し胃体部のNBI拡大内視鏡所見を観察し得た200症例(うち胃癌症例37例)につき,NBI拡大内視鏡像と胃癌との関連を検討した.検討(3)H. pylori陽性例30例につき,除菌前後後のNBI拡大内視鏡による胃粘膜形態と除菌の成否,組織変化との関連を検討した.結果:検討(1)拡大内視鏡像がNormal,からType1~3に進行するにつれ,血清PGI/II 比の低下(R=-0.78, p<0.0001),内視鏡的萎縮の進行 (R=0.57, p<0.0001)を認めた.検討(2)拡大内視鏡像がNormal,Type1~3の4群における胃癌の頻度はそれぞれ0%, 10.7%, 17.9%, 52.4%であり内視鏡像がNormal,からType1~3に進行するにつれ胃癌合併の頻度は上昇した(R=0.49, p<0.0001).検討(3)除菌成功例24例のうちType 1およびType 2の20症例では腫大,延長したピットの縮小,不整な血管の密度の減少を認め,組織学的には慢性炎症の改善を認めた.一方,除菌不成功例および高度萎縮を認めるType 3の4症例では形態変化は認めなかった.結語:胃体部におけるNBI拡大内視鏡所見は胃全体の萎縮,胃癌リスク,除菌成否などのマーカーとして有用である.除菌後症例の長期予後における胃癌との関連にはさらなる検討が必要である.
索引用語 NBI拡大内視鏡, 胃