セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(良性2)

タイトル 消P-306:

消化管粘膜下腫瘍に対する直視下粘膜切開生検とEUS-FNAの病理検体定量化も含めた検討

演者 中村 健二(聖路加国際病院・消化器内科)
共同演者 飯塚 雄介(聖路加国際病院・消化器内科), 中野 薫(聖路加国際病院・消化器内科), 島村 勇人(聖路加国際病院・消化器内科), 池谷 敬(聖路加国際病院・消化器内科), 高木 浩一(聖路加国際病院・消化器内科), 石井 直樹(聖路加国際病院・消化器内科), 福田 勝之(聖路加国際病院・消化器内科), 鈴木 高祐(聖路加国際病院・病理診断科), 藤田 善幸(聖路加国際病院・消化器内科)
抄録 【目的】消化管粘膜下腫瘍(SMT)において画像診断のみでは通常確定診断を得ることはできない.確定診断にはEUS-FNAによる病理学的診断法がガイドラインで示されている.一方で,消化管SMTに対し直視下粘膜切開生検による病理学的診断法の有用性が報告されている.今回,当院で施行した直視下粘膜切開生検とEUS-FNAの患者,処置背景および病理検体を定量化し比較検討した.【方法】2010年2月~2013年2月までに直視下粘膜切開生検(C群)8例,EUS-FNA(E群)7例を行った消化管SMT計15例を対象とした.病理検体は最も検体評価に適した部位を10倍の1視野のうち病理医による評価可能部位をプロットした.病理医により判断された評価可能な領域を画像解析ソフトNIH Image J version 1.44を用い定量化し比較した.【成績】平均年齢C群:47±12歳,E群:49±11歳.男女比3:4,5:2.平均腫瘍径(mm)18.5±6.3,24.4±8.6.占拠部位は胃(U/M/L)3/4/0:1/4/1,C群で直腸1例,E群で食道1例.発育形態(管内/壁内/管外)4/4/0,0/6/1.C群の平均生検個数:6.4,E群の穿刺回数:4.4.処置時間(min)35±14,45±9.病理組織診断はC群ではGIST 1例,平滑筋腫3例,神経鞘腫1例,異所性子宮内膜症1例,異所性膵1例,診断不能1例で診断率7/8(87.5%),E群ではGIST 3例,平滑筋腫1例,神経鞘腫2例,異所性膵1例で診断率7/7(100%).病理組織検体の評価可能面積(mm2)0.73±0.4,0.29±0.29(p<0.05).両群に重篤な偶発症は認めないが,C群で術後に一過性の嘔気と腹痛を各々1例認めた.【結語】直視下粘膜切開生検およびEUS-FNAは病理組織診断率に差は認めなかった.病理検体評価可能領域の定量化による検討では直視下切開生検はEUS-FNAに比較し10倍視野での評価可能検体面積は有意に高値であった.EUS-FNA困難部位や施設背景によっては消化管SMTに対する直視下切開生検は選択肢として考慮される.
索引用語 直視下粘膜切開生検, EUS-FNA