セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(良性2)

タイトル 消P-307:

胃酸分泌を識別する血清ペプシノーゲン値のcutoffに関する検討

演者 飯島 克則(東北大・消化器内科)
共同演者 小池 智幸(東北大・消化器内科), 荒 誠之(東北大・消化器内科), 新海 洋彦(東北大・消化器内科), 中川 健一郎(東北大・消化器内科), 下瀬川 徹(東北大・消化器内科)
抄録 我々は,血清ペプシノーゲン(PG)値は胃酸分泌能と相関することを報告した(JG 2005, 2009).また,我々は,endoscopic gastrin test (EGT)の結果から,H. pylori (HP)陰性健常日本人の胃酸分泌は3.6±1.5 mEq/10minであり(AJG 1998),低酸分泌のcutoffをmean-1S.D=2.1,高酸分泌のcutoffをmean+1S.D.=5.1として種々の検討を行い,薬剤胃粘膜傷害などと胃酸分泌との関連について報告してきた(JG 2010, 2012, 2013).今回の研究では,retrospectiveにデータを解析し,胃酸分泌の指標として血清PG値のcutoff値を設定することを目的とした.【方法】対象は1995年~2012年に当大学病院消化器内科でEGT,及び血清PG値測定が行われた639名(男性441名,平均年齢58.7±15.4歳).胃酸分泌抑制剤服用者,HP除菌歴のあるものは除外した.EGTの結果から303名は低酸分泌者,特に155名は高度の低酸分泌者(mean-2S.D.),そして66 名は高酸分泌者であった.ROC解析を行い,各々の酸分泌の状態を予測する血清PG値のcutoff値を算出した.【結果】低酸分泌の予測に関してのROC曲線のAUCは,各々PG I: 0.72 (0.68-0.76), PG II: 0.44 (0.39-0.48), PG I/II: 0.86 (0.83-0.89)であり,PGI/IIで最も良好に識別可能で性あった.PG IとPG I/IIを組み合わせても更なる識別能の改善は認めなかった(AUC=0.86).この結果をもとに,PG I/II=3.0をcutoffとして,感度76.4%, 特異度78.7%で低酸分泌の識別が可能であった.同様に高度の低酸分泌に関しては,PGI/II=2.3をcutoffにすることで,AUC=0.93,感度85.5%,特異度85.3%と極めて良好に識別可能であった.高酸分泌の予測に関しては,HP感染の有無別で分けることで,HP陰性者では,PG I=50 ng/mlをcutoffとして,AUC=0.79,感度70.6%,特異度72.7%,一方,HP陽性者では,PGI/II=3.3をcutoffとしてAUC=0.85,感度78.6%,特異度77.2%で識別可能であった.【考察】血清PG値に適切なcutoff値を設定することで,胃酸分泌の状態を識別することが可能であった.
索引用語 血清ペプシノーゲン, 胃酸分泌