セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(良性2)

タイトル 消P-308:

除菌前後における胃液pHとペプシノゲンの変化

演者 魚谷 貴洋(浜松医大・1内科)
共同演者 杉本 光繁(浜松医大・1内科), 市川 仁美(浜松医大・1内科), 佐原 秀(浜松医大・1内科), 岩泉 守哉(浜松医大・分子診断学), 山田 貴教(浜松医大・1内科), 栗山 茂(浜松医大・救急部), 大澤 恵(浜松医大・光学医療診療部), 杉本 腱(浜松医大・1内科), 古田 隆久(浜松医大・臨床研究管理センター)
抄録 【目的】本邦では,胃癌リスク評価法としてABC検診が広く活用されてきた.ABC検診においてヘリコバクター・ピロリ (H.pylori:HP) 抗体測定とともにその一翼を担う血清ペプシノゲン (pepsinogen:PG) 測定は,PG1とPG2の値により萎縮の程度を予測できる.一方,胃粘膜の萎縮が高度になると壁細胞が減少するため,胃酸分泌も低下する.これら胃粘膜萎縮,PGの変化,胃酸分泌の低下はHP除菌によって変化するが,我々は除菌前後において胃液pHを中心に各種項目を検討した.【方法】対象は当院HP専門外来に受診した患者のうち,各種検査項目が測定しえた21名 (M:F=9:12) .胃液は経内視鏡的に採取し,除菌前と除菌6週後のPG1,PG2,PG1/2,HP抗体価を測定し,比較検討した.【結果】PG1とPG2は除菌後に有意に低下し,PG1/2は有意に上昇した(それぞれp<0.01 ).さらにHP抗体価は除菌後に有意に低下し(p<0.01),胃液pHは低下する傾向を認めた.除菌前の胃液pHは除菌前PG1,PG2,HP抗体価と相関を認めなかったが,除菌前PG1/2,除菌前後のPG1/2の変化率で有意な相関を示した(それぞれp=0.02,p=0.02).一方,除菌後の胃液pHは,除菌後PG1,PG2と有意な相関を認めた(それぞれp<0.01,p<0.05).除菌前の胃液pHを低値群(pH<4)と高値群 (pH≧4) に分けたところ,胃液pH高値群は萎縮が強い傾向を示した.また胃液pH高値群は除菌前と比較し,PG1とPG2で有意な低下,PG1/2で有意な上昇を示したが (それぞれp<0.01),胃液pH低値群はそうではなかった.【結語】一般に除菌後は胃内の炎症が軽減するためPGは低下するが,元来炎症や萎縮が高度である胃液pHが高い症例ほど,除菌によりPG1,PG2,PG1/2の変化が大きいこと明らかとなった.さらに症例を蓄積して報告したい.
索引用語 ヘリコバクター・ピロリ, 血清ペプシノゲン