セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(良性2)

タイトル 消P-309:

特発性潰瘍の頻度調査:多施設共同・前向き研究

演者 菅野 武(東北大大学院・消化器病態学)
共同演者 飯島 克則(東北大大学院・消化器病態学), 小池 智幸(東北大大学院・消化器病態学), 下瀬川 徹(東北大大学院・消化器病態学), 阿部 靖彦(山形大・消化器内科), 大矢内 幹(大崎市民病院・消化器科), 伊藤 博敬(大崎市民病院・消化器科), 阿曽沼 祥(みやぎ県南中核病院・消化器科)
抄録 【背景】以前よりH.pyroli感染と非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAID)は消化性潰瘍のリスクとして認識されていた.しかし近年はH.pyroli感染率の低下や除菌治療に関連して,H.pyroli陰性の消化性潰瘍患者が問題となってきている.従来,日本ではこの2大要因が消化性潰瘍の大部分を占め,両者が陰性で原因が特定できない潰瘍すなわち特発性潰瘍は数%のみとされてきた.しかし,アメリカでは特発性潰瘍が20%前後という報告があり,近年アジア地域においても同様の傾向が報告されている.しかし本邦においては,1990年代までの報告であり最近の動向は明らかではない.【目的】消化性潰瘍患者におけるH.pyroli感染,NSAID内服の割合などから,日本における現在の特発性潰瘍の頻度や特徴を明らかにすること.【方法】当大学病院および関連する計4施設において,2012年4月~2013年3月末までの上部内視鏡検査で消化性潰瘍と診断された患者の背景(性,年齢,身長体重,喫煙,飲酒,H.pyroli感染,NSAID内服,除菌歴の有無,既往疾患)と潰瘍の性状(大きさ,個数,主たる発症部位,萎縮,出血の有無,潰瘍瘢痕の有無)を前向き研究として評価した.【成績】現在9月までの分を中間集計しており,203例がエントリーされている(胃潰瘍149例,十二指腸潰瘍47例,胃十二指腸潰瘍併存例7例).性別は男性が147名(72%),年齢の中央値は64±15才(S.D.)(20-96才),H.pyroli感染は70.2%に認められ,アスピリンを除くNSAIDの内服は28.1%(アスピリンを含めると37.9%)であった.【結論】総会時点では,1年間のデータを集計し文献的考察を加え,現在の日本における消化性潰瘍の背景に関する報告を発表する.
索引用語 消化性潰瘍, 特発性潰瘍