セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(良性3)

タイトル 消P-310:

胃ESDは蠕動を低下させるのか?~呼気試験を用いた胃排出能の検討~

演者 渡辺 晃(福島県立医大・消化器・リウマチ膠原病内科)
共同演者 引地 拓人(福島県立医大附属病院・内視鏡診療部), 佐藤 匡記(福島県立医大・消化器・リウマチ膠原病内科), 中村 純(福島県立医大・消化器・リウマチ膠原病内科), 高木 忠之(福島県立医大・消化器・リウマチ膠原病内科), 池田 恒彦(福島県立医大・消化器・リウマチ膠原病内科), 杉本 充(福島県立医大・消化器・リウマチ膠原病内科), 藁谷 雄一(福島県立医大・消化器・リウマチ膠原病内科), 小原 勝敏(福島県立医大附属病院・内視鏡診療部), 大平 弘正(福島県立医大・消化器・リウマチ膠原病内科)
抄録 【目的】ESDの導入により,広範な早期胃癌も切除可能になった.しかし,切除後の内視鏡観察時に食残がみられる症例をしばしば経験し,ESDは胃排出能を低下させる可能性があると考えた.そこで,呼気試験法でESDの胃排出能に対する影響を検討した.【方法】2010年7月から2012年12月までに80歳未満の胃ESD患者51例を対象とした(男性34例, 女性17例,平均68.9歳).試験食とし13C-acetate100mgを加えた液状食(ラコール)200mlを使用し,呼気をESD前,1週後,2カ月後の3機会採取した.それぞれの機会で,120分後まで計13回採取した.Ghoosらの解析式を用いてTlag(呼気中の13CO2排出が最大となる時間),T1/2(胃排出積算量が最終積算量の50%となる時間)を算出した.胃ESDの胃排出能に対する影響を部位と切除長径別に比較検討した.部位別では,Tlagと T1/2を1週後/ESD前,2か月後/ESD前の比率でも検討した.切除長径は,40mm以下をA群,41-59mmをB群,60以上をC群と定義した.【成績】病変部位は,胃上部(U領域),胃中部(M領域),胃下部(L領域)で,それぞれ8,21,22例であった.U領域はESD前に比較して1週後のTlagとT1/2は遷延し,2カ月後ではTlagが遅延した.M領域はTlagとT1/2共に1週後と2カ月後で遅延した.しかし,L領域はいずれも差がなかった.切除長径は,A群,B群,C群で,それぞれ30,14,7例であった.A群のTlagとT1/2は2カ月後に遅延したが,B群は差がなかった.C群は1週後にTlagとT1/2に遷延したが,2カ月後はTlagのみ遷延した.また,C群はA群とB群に比較して,TlagとT1/2共に,2カ月後/ESD前は差がなかったが,1週後/ESD前は高値であった.【結論】部位ではU領域とM領域,大きさでは60mm以上の病変で,ESD後に排出能が低下した.今後は症例数を増やすと共に,さらに詳細な解析をする予定である.
索引用語 胃排出能, ESD