セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(良性3)

タイトル 消P-311:

抗血栓療法施行中に発症した上部消化管出血症例の臨床的検討

演者 脇田 重徳(安城更生病院・消化器内科)
共同演者 山田 雅彦(安城更生病院・消化器内科), 三浦 眞之佑(安城更生病院・消化器内科), 宮本 康雄(安城更生病院・消化器内科), 小屋 敏也(安城更生病院・消化器内科), 鈴木 悠土(安城更生病院・消化器内科), 岡田 昭久(安城更生病院・消化器内科), 馬渕 龍彦(安城更生病院・消化器内科), 竹内 真実子(安城更生病院・消化器内科), 細井 努(安城更生病院・消化器内科)
抄録 【目的】人口の高齢化に伴って抗血栓薬の内服患者が増加しているが,近年消化管出血が問題となってきている.今回,我々は抗血栓療法施行中に発症した上部消化管出血例の臨床像について検討したので報告する.【方法】2009年1月から2012年3月までに当院に入院した上部消化管出血のうち,悪性疾患及び肝硬変合併例を除外した,抗血栓薬内服患者82例(内服群)を対象に基礎疾患,服用薬剤,出血病変,治療経過,転帰について検討した.【成績】男性55例,女性27例,平均年齢71.1±10.7歳であった.抗血栓薬の内服目的は1次予防が22例,2次予防60例で,既往歴は虚血性心疾患28例,脳血管障害33例(重複1例を含む)であった.薬剤の内訳は低用量アスピリン(LDA)単剤使用42例,ワルファリン(WF)単剤使用14例,LDA+WF併用7例,LDA+クロピドグレル併用3例などで,18例は複数併用していた.出血病変は胃潰瘍52例,十二指腸潰瘍15例,マロリー・ワイス症候群(MWS)10例,吻合部潰瘍2例,AGML2例,逆流性食道炎1例であった.81例では内視鏡的止血術が可能であったが,残る1例(WF単剤,十二指腸潰瘍)は内視鏡的に止血し得ず,血管造影で一旦止血を得たが再出血にて不幸な転帰に至った.再度止血術を必要とした症例は7例で,非内服群(214例)より再出血率は高い傾向を認めた.また,1例(LDA単剤,MWS)において,抗血栓薬休薬3日目に急性心筋梗塞の発症を認めた (発症1週後で自主退院,1ヵ月後CPA搬送)が,その他には休薬期間中の血栓塞栓症合併は認めなかった.【結論】抗血栓療法施行中に発症した上部消化管出血例では再出血のリスクとともに,休薬に伴う血栓塞栓症の発症リスクも考慮しながら,基礎疾患の当該科と緊密な連携を行って慎重に経過観察することが重要と考えられた.
索引用語 抗血栓薬, 消化管出血