セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(良性3)

タイトル 消P-312:

薬剤溶出性ステント留置後の抗血栓薬内服患者における消化管出血の検討

演者 三浦 眞之佑(安城更生病院・消化器内科)
共同演者 山田 雅彦(安城更生病院・消化器内科), 脇田 重徳(安城更生病院・消化器内科), 宮本 康雄(安城更生病院・消化器内科), 小屋 敏也(安城更生病院・消化器内科), 鈴木 悠土(安城更生病院・消化器内科), 岡田 昭久(安城更生病院・消化器内科), 馬渕 龍彦(安城更生病院・消化器内科), 竹内 真実子(安城更生病院・消化器内科), 細井 努(安城更生病院・消化器内科)
抄録 【目的】薬剤溶出性ステント(Drug-eluting stent; DES)留置後は抗血栓療法が不可欠とされているが,抗血栓薬の増加・長期化に伴って出血性合併症が問題となってきている.今回,DES留置後の抗血栓薬内服患者において,消化管出血の現状を検討したので報告する.【対象と方法】2010年6月から2011年12月までに当院にてDESを留置した401例(男女比327:74,平均年齢67.8±9.4歳)を対象に,抗血栓薬の内訳,抗潰瘍薬処方の有無,消化性潰瘍既往の有無などの消化管出血に対する影響を検討した.【結果】抗血栓療法はアスピリン+クロピドグレル内服340例,その他の抗血小板薬併用32例,抗血小板薬+ワルファリン併用29例であった.抗潰瘍薬の内訳はPPI262例,H2RA35例で,処方なしが104例であった.経過観察中に胃潰瘍2例,マロリーワイス症候群1例,憩室出血3例,大腸ポリープ出血1例,痔核出血1例を認めた.胃潰瘍2例は共にアスピリン+クロピドグレル内服患者であり,PPI内服262例中1例(0.4%),抗潰瘍薬の処方がなかった104例中1例(1.0%)であった.憩室出血に関しては,ワルファリン内服患者で2例(6.9%)認めたのに対し,ワルファリン非内服者では1例(0.3%)のみであり,ワルファリン併用により憩室出血のリスクが上昇する可能性が示唆された.また,消化性潰瘍の既往,年齢による消化管出血の発生に有意差は認められなかった.消化管出血例の経過は全例比較的良好で出血死は認めず,抗血栓薬休薬中に血栓塞栓症の発症は認めなかった.【結語】DES留置後の抗血栓薬内服中の患者に対してPPIは消化性潰瘍発生抑制効果を有する可能性が,またワルファリンは憩室出血のリスクを上昇させる可能性が示唆された.
索引用語 消化管出血, 薬剤溶出性ステント