セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(良性3)

タイトル 消P-313:

当院における異所性静脈瘤治療の現状

演者 岩田 恵典(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科))
共同演者 長谷川 国大(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科)), 由利 幸久(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科)), 楊 和典(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科)), 石井 昭生(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科)), 高嶋 智之(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科)), 坂井 良行(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科)), 會澤 信弘(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科)), 岩田 一也(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科)), 池田 直人(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科)), 田中 弘教(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科)), 榎本 平之(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科)), 斉藤 正紀(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科)), 今西 宏安(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科)), 飯島 尋子(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科)), 西口 修平(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科))
抄録 【はじめに】肝細胞癌治療が確立されてきた現在,長期生存可能な肝硬変患者では,食道静脈瘤以外の胃や直腸,十二指腸などの異所性静脈瘤に対しての治療も重要である.当院での胃穹窿部静脈瘤(Lg-f),異所性静脈瘤に対する治療成績を検討し,治療の現況につき報告する.【対象と方法】2007年4月から2012年10月までに当院肝胆膵科を初診となったLg-f30例,直腸静脈瘤1例,十二指腸静脈瘤1例を対象とした.胃静脈瘤30例に対してはCT検査等で太い腎静脈系短絡路が確認された19例に対してバルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(B-RTO)を行い,B-RTO困難例に対してHistoacrylによる内視鏡的硬化療法(HA-EIS)を10例,内視鏡的胃静脈瘤結紮術(EVL)を1例に施行した.治療適応とした症例は出血例8例,予防例22例で,基礎肝疾患はB型1例,C型12例,アルコール性10例,その他7例であった.肝予備能はChild-Pugh分類A 13例,B 13例,C 4例で,肝細胞癌合併5例(16.7%)であった.また,異所性静脈瘤として直腸静脈瘤にHA-EISを1例,十二指腸静脈瘤にダブルバルーン内視鏡を使用したEVLを1例施行した.【成績】Lg-f,異所性静脈瘤32例のうち,肝予備能が不良で緊急EVLを施行した1例を除いて,その他の31例はHA-EIS,B-RTOにてそれぞれの静脈瘤の再発は認めず,永久止血が得られた.術後食道静脈瘤が増大したため,内視鏡治療群で2例(15.4%),B-RTO群で3例(15.8%)に食道静脈瘤に対するEISを追加した.合併症はChild分類Cの患者にB-RTOを施行した1例で術後早期に肝不全が進行し死亡した.術後経過観察中の死亡例は7例で,死因は肝不全および肝細胞癌6例,他病死1例で,消化管再出血による死亡例は認めなかった.【結語】Lg-f,異所性静脈瘤に対してHA-EISやB-RTOを行うことで適切に治療できた.肝予備能不良例では緊急時のB-RTOにより術後早期に肝不全での死亡例を経験しており,肝予備能に応じた治療法の選択が望まれる.
索引用語 胃静脈瘤, 異所性静脈瘤