セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(良性3)

タイトル 消P-314:

当院において治療を行った十二指腸静脈瘤3例の検討

演者 北川 美香(名古屋市立東部医療センター・消化器内科)
共同演者 伊藤 恵介(名古屋市立東部医療センター・消化器内科), 佐橋 秀典(名古屋市立東部医療センター・消化器内科), 荒木 幸子(名古屋市立東部医療センター・消化器内科), 浅野 剛(名古屋市立東部医療センター・消化器内科), 川村 百合加(名古屋市立東部医療センター・消化器内科), 西牧 亜奈(名古屋市立東部医療センター・消化器内科), 今井 宗徳(名古屋市立東部医療センター・消化器内科), 田中 義人(名古屋市立東部医療センター・消化器内科), 長谷川 千尋(名古屋市立東部医療センター・消化器内科), 川合 孝(名古屋市立東部医療センター・消化器内科)
抄録 【背景】十二指腸静脈瘤は非常に稀であり確立した治療はない.破裂すれば予後不良であるが予防的治療の適応も不明で経過観察例は少なくない.今回我々は当院で治療を要した十二指腸静脈瘤の3例につき文献的考察を踏まえて検討した.【症例1】68歳男性,B型肝硬変,肝癌にて通院中,十二指腸静脈瘤を認めるも経過観察.2007年頃よりシャント脳症を繰り返し2008年1月某日BRTO施行.静脈瘤は消失し肝性脳症は改善した.【症例2】82歳男性.胃癌術後.皮膚筋炎でステロイド治療中.2008年9月某日大量下血でショック状態となった.緊急EGDで出血源は同定できず,更に血圧と意識レベルが低下し人工呼吸器管理となった. 造影CTにて十二指腸静脈瘤が疑われ,極めて全身状態不良のため手術室にてTCSとEGD再検を行い十二指腸静脈瘤破裂と診断.EVLとEIS(CA)にて治療を行った.その後一旦状態安定したが約1ヵ月後に再下血.EGDにて静脈瘤よりCA重合体が露出し,その脇からの出血を認め EVLにて止血.後日BRTOを試みるも不可で経過観察となる.【症歴3】61歳女性.脾臓摘出術後(15歳時).非B非C肝硬変で通院中.2013年1月某日大量下血を認め当院受診.以前から十二指腸静脈瘤を認めており同部からの出血を考え緊急EGD施行.観察中に噴出性出血を認めEVLにて一次止血.同日根治目的にBRTO施行し静脈瘤は消失した.【考察】当院で治療適応となった十二指腸静脈瘤3例中2例は肝硬変例で,静脈瘤の経過観察中に破裂とシャント脳症のため治療を行った.もう 1例は肝硬変もなく他疾患治療中で出血源の同定に難渋した.治療として2例はBRTO,1例はEIS(CA)を施行したが再出血を来し追加 EVLを要した.【結語】十二指腸静脈瘤の病態は不明なことが多く大量消化管出血の鑑別として念頭に置く必要がある.根治療法にはBRTOが有用と考えられ,予防的治療の適応については更に症例を蓄積し検討する必要があると考えられた.
索引用語 十二指腸静脈瘤, 治療