セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
胃・十二指腸(H.pylori 1)
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タイトル |
消P-316:Helicobacter pylori(HP) 除菌後の血清抗 HP IgG抗体価およびペプシノゲンI ・II値の長期的推移
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演者 |
冨山 剛(自治医大・健診センター) |
共同演者 |
佐藤 貴一(自治医大・消化器肝臓内科), 大澤 博之(自治医大・消化器肝臓内科), 吉澤 充代(自治医大・健診センター), 菅野 健太郎(自治医大・消化器肝臓内科) |
抄録 |
【目的】除菌治療後の血清HP IgG抗体価(HP抗体価)やペプシノゲン(PG)値の長期的推移に関する報告は少ない.今回我々は,除菌後10年までのHP抗体価およびPG値の推移に関し検討した.【方法】平成23年1月から平成25年2月に当院の健診センターを受診し,除菌成功後3年以上のHP抗体価およびPG値の推移を評価可能であった71例を対象とした.男女比は34:37,平均年齢は56.7歳,除菌対象疾患は胃潰瘍9例,十二指腸潰瘍9例,慢性胃炎53例であった.全例尿素呼気試験(62例)または便中HP抗原検査(9例)により除菌成功が確認されている.各値の測定には,ルミスポット(栄研)H.ピロリ抗体キットおよびペプシノゲンキットを使用した.【成績】HP抗体価(平均±標準偏差)は,治療前94.2±86.8 U/ml,1年後17.2±13.1 U/ml,3年後9.84±9.9 U/ml,5年後5.4±5.5 U/ml,7年後5.1±7.1 U/ml,10年後2.1±3.6 U/mlと前値に比べ治療1年後に有意な低下を示し(P<0.01),5年後ではさらに有意に低下した(P<0.01).またHP抗体の陽性率は,1年後62%(39/63),3年後 36%(22/61),5年後 11%(4/35),7年後 13% (2/16),10年後 0%(0/3)と徐々に低下したが,陰性化に5年以上を要する例も見られた.PG I,II値は,各々治療前63.1±30.0 ng/ml,25.4±13.5 ng/ml,1年後37.9±22.4 ng/ml,7.7±3.7 ng/ml,3年後38.6±15.0 ng/ml,7.8±2.4 ng/ml,5年後41.1±21.4 ng/ml,8.7±3.8 ng/ml,7年後39.0±9.4 ng/ml,8.8±2.2 ng/ml,10年後43.9±11.6 ng/ml,10.9±4.0 ng/mlと1年後にいずれの値も有意な低下を認め(P<0.01),その後も持続した.またPG I/II 比は,治療前2.9±1.3,1年後4.9±1.3,3年後5.0±1.3,5年後4.9±1.4,7年後4.5±0.8,10年後4.1±0.6と1年後に有意な上昇が見られ(P<0.01),その後も持続した.【結論】除菌成功後も,HP抗体価が長期に陽性を示す症例が存在する.除菌歴のあるHP抗体陽性例ではPG値も考慮し,除菌成功例であるかどうか判断する必要がある. |
索引用語 |
除菌治療後, 抗HP抗体 |