セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃・十二指腸(H.pylori 1)

タイトル 消P-319:

H. pylori 除菌治療後におけるレバミピドの投与効果について-多施設共同研究-

演者 鎌田 智有(川崎医大・消化管内科)
共同演者 佐藤 元紀(佐藤胃腸科外科), 徳冨 正(とくとみ内科胃腸科クリニック), 原 睦展(小畠病院), 渡辺 哲夫(渡辺胃腸科外科病院), 村尾 高久(川崎医大・消化管内科), 松本 啓志(川崎医大・消化管内科), 眞部 紀明(川崎医大・検査診断学), 伊藤 公訓(広島大病院・消化器・代謝内科), 井上 和彦(川崎医大・総合診療科), 塩谷 昭子(川崎医大・消化管内科), 春間 賢(川崎医大・消化管内科)
抄録 【背景と目的】現在,除菌による胃癌の予防効果が示されているが,除菌後の異時性胃癌発生や消化器症状の継続などから,除菌後の治療継続の必要性を検討することは重要である.胃炎・胃潰瘍治療薬であるレバミピドは胃粘膜血流量の増加,抗炎症作用など有している.今回,除菌後にレバミピドを投与し,組織学的胃炎,自覚症状などの推移を検討した.【対象と方法】除菌を施行した胃潰瘍,胃炎,早期胃癌内視鏡的治療後の計206例を登録した.このうち除菌成功を確認できた161例を無作為に2群 (I: レバミピド群81例 (男性40例,平均年齢57.8歳),II: 非投与群80例 (男性33例,平均年齢56.4歳)に割りつけた.主要評価項目は組織学的胃炎の変化,副次評価項目はFスケール,血清ガストリンおよびペプシノゲン値の変化とした.胃生検(前庭部大弯,体中部大弯)を行い,活動度,慢性炎症,腺萎縮,腸上皮化生について評価した.【成績】試験開始1年後,レバミピド投与30例,非投与41例を検討した.除菌後,組織学的胃炎はレバミピド群,非投与群共に腸上皮化生を除き有意に改善したが,両群に差を認めなかった.Fスケール値はレバミピド群では除菌前 (mean±SD)4.1±6.4,除菌後2.1±2.0,非投与群はそれぞれ6.1±5.6,4.2±4.4であり,レバミピド群は除菌後のFスケール値が有意に低値であった (p<0.05).血清ガストリン値はレバミピド群では除菌前285.9±278.8 pg/ml,除菌後157.4±134.3,非投与群では334.9±497.1,226.1±553.8となり,レバミピド群は除菌後の血清ガストリン値が低い傾向にあった.【結論】除菌後のレバミピド投与による組織学的胃炎の改善効果は現時点では有意ではないが,現在も投与継続中であり,さらに長期の経過観察を行っている.
索引用語 除菌治療, レバミピド